Index Top |
|
中編 カイムの悪戯心 |
|
「覚悟って?」 訊いてくるミィに、カイムは苦笑を返した。 「ミィに自覚は無いかもしれないけど、可愛い女の子が男にそんなこと言ったら無茶苦茶にされても文句は言えないよ。ミィの嫌がることをするつもりはないけど」 右手の指でミィの眼前に印を書き上げる。輪郭の文字に魔力が通り、ミィの身体に吸い込まれた。魔封じの魔術。妖精とはいえ魔力を込めた力は子供に匹敵する。この魔術で、逃げられないようにしておくのだ。ついでに、飛べなくもなる。 「えっと……」 戸惑うミィに構わず、カイムは親指と人差し指でお腹の辺りを押さえた。指先に魔力を集めて、ミィの両足首を結ぶ。七センチほどの魔力の棒によって、足を開いた状態で固定された。魔法が使えないので、外すことは出来ない。 「これで動けないだろ?」 ミィが動けないのを確認してから、カイムは右手で緑色のワンピースをめくり上げた。裾の奥にある白いショーツがあらわになる。 「うわ。待って、待って」 慌てるミィ。足を閉じて隠そうとするが、無駄な努力だった。太股を必死に寄せながら、両手でカイムの手をどかそうしている。 だが、どうにもならない。 「妖精って着ているものは人間と変わらないんだよなぁ」 素直な感想を漏らしながら、カイムは裾の中に人差し指を差し入れた。恥ずかしさに両手で顔を隠すミィ。ショーツの上から秘部に指先を触れさせる。 「ん……」 ミィの喉から細い息が漏れた。我慢するようにきつく口を閉じる。 指先に感じる滑らかな布の感触。カイムはゆっくりと指を動かした。丁寧に優しく、傷つけないようにそっと、大事な所を撫でていく。 服の上から両手でカイムの指を押さえたまま、ミィが首を左右に動かした。緑色の三角帽子と赤い髪が左右に揺れる。 「マスター、駄目……」 「駄目って、ミィから頼んだんだろ?」 「うぅぅ」 カイムの言葉にミィは不服の声をこぼした。 そうしているうちに、指先に薄い湿り気を感じてくる。指の動きに合わせて、ミィの身体が小さく震えていた。感じているらしい。 「濡れてるみたいだけど、気持ちいいかい?」 「分からない」 どこか艶っぽい声に、カイムは一度指を止める。 ミィは身体から力を抜いて、息を吐いた。それで攻めは終わりと思って、安心したのだろう。だが、安心するのは早い。これで終わるはずもない。 その瞬間を狙って、カイムは素早く指を動かす。 「きゃッ」 ミィの身体が二、三度跳ねた。油断したところへの強い刺激に面白いように反応する。 カイムが指を放すと、赤い瞳に涙を浮かべて見上げてきた。 「あぅ。ひどいよぉ」 「いや、すまない」 笑いながら謝り、左手をくるりと返す。仰向けに寝ていたミィを手の動きだけでうつ伏せにする。左手の平の上に上体を乗せた状態。支えていない両足は、力なく下ろされていた。両足を閉じることはできない。 「じっとしててね」 「え、え?」 カイムは再び指の魔力を通して、ミィの両手首を掴んだ。腰の後ろに回し、手首を魔力で縛る。丁度後ろ手に拘束された形となった。 両手両足を固定されて、これではまともに動けない。 「マスター、何する……の?」 「だから言ってるだろ? ぼくも男だからミィも覚悟決めろって。ミィが嫌がるようなことはしないけど、好き勝手弄らせてもらうぞ」 不安がるミィの頭を、カイムは優しく撫でた。 右手の人差し指を、ミィの両足の間に差し入れる。 「え。何、なに?」 戸惑うミィには構わず、ショーツの上から人差し指の横を秘部へと触れさせた。 小さく身体が強張る。 そのまま、カイムはゆっくりと指を前後に動かし始めた。力を入れず、早くもない。しかし、指の動きは確実に快感を与えていく。 「あっ」 ミィの口から吐息が漏れた。指から逃げるように身体を動かすが、それもままならない。四肢を拘束され魔法を封じられ、飛ぶことも出来ないのだ。 ぴんと伸びた羽が、指の動きに合わせて震えている。 「どうだ、気持ちいいかい?」 「分かん、ない」 弱々しい答え。きつく目を瞑ったまま、頬を赤く染めている。 カイムは止めることなく指を動かした。ショーツの上から丁寧に秘部を攻める。力は加えず、緩急もなく単調な指の動き。だが、無視できない刺激。 「ん、ぁぁ……」 ミィの口から零れる甘い声。 指に感じる湿り気。さきほどよりも濡れているようだった。無意識なのだろう。指を捕まえるように、両太股を閉じようとしている。 「ぅぁぁ、マスタぁ」 何かを求めるように身体を反らすミィ。身体に快感を与えつつも、緩やかな指の動きでは達するほどの刺激にはならない。 そこでカイムは指を引き抜いた。 荒い息を繰り返すミィ。顔は紅潮し、赤い瞳も焦点が合っていない。 「あぅ、ふぁぁ」 拘束している魔力に指を触れさせ、戒めを解く。 左手を下ろしてミィを机に下ろした。だが、足腰に力が入らず立つことすら出来ない。その場にぺたんと座り込んでいる。 「ミィ」 「な、に? マスター」 肩で息をしながら、とろけたような視線を向けてくる。 カイムはミィの目の前に伸ばした人差し指を差し出した。 「今度は自分でやってみて」 「自分で、って?」 理解出来ないと言いたげなミィを左手で掴み上げ、人差し指の上に跨らせる。両足が机につく高さなので、落ちるということはない。 両手を親指の辺りに置かせると、腰を掴んで軽く前後に動かしてみる。 「んんっ」 ミィは息を呑んだ。頭で理解したわけではないだろう。 しかし、身体は理解していたようだった。 カイムの指に大事な部分を擦りつけるように、腰を前後に動かし始める。最初はゆっくりとした動きだったが、徐々に動きが速くなり始めた。 「待って、あれ? あぅぅ」 腰を動かしながら、自分の身体の動きに戸惑うミィ。自分でも何が起っているか理解していない。思考が半分以上溶けていた。 ショーツの滑らかさと妖精の柔らかさ、溢れた密の暖かさが指に直接伝わってくる。 「気持ちいいか?」 「んんん、あぅ、んぁぁ」 秘部を指に押しつけながら、甘い声を上げるミィ。 もう何も聞こえていないようだった。きつく目を閉じて快感を拒否しながらも、理性を吹き飛ばす衝動に逆らうことが出来ない。 「ダメ、あぁぁ、マスタァ……。わたし、駄目ダメ……!」 何かを拒むように首を振るが、無駄な抵抗だった。未だ理解出来ない快楽、だが身体は勝手にそれを求めている。 恐怖と期待の入り交じった表情で、ミィは腰の動きを早めた。 そして、絶頂を迎える―― 寸前に、カイムは指を引き抜いた。 「あ……」 限界まで性感が高まったのに達することが出来ず、ミィは力無く腰を落とした。達する寸前でイクのを止められた喪失感はどれほどだろうか。 両手をぺたりと机について、涙の浮かんだ赤い瞳を向けてくる。 「マスター。ひどい、よ……」 嗜虐心が疼くのを自覚しつつ、カイムは人差し指でそっとミィの頬をを撫でた。 「もう少し遊ばせてくれ」 ウインクとともに告げる。 |