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カイムと妖精 エピローグ


 カイムは菓子箱を開けた。
「ほい」
 ビスケットを一枚取り出し、ミィに差し出す。
 ミィはビスケットを両手で受け取った。
「ありがと。マスター」
 笑顔で頷く。
 カイムが食べるのを見てから、食べ始めた。
「元通りになってよかった」
 カイムはしみじみと呟く。
 脱力した状態から意識を取り戻すまで、十分かかった。何度も達したおかげで、効果は切れたようである。ただ、猛烈な疲労が残ったようで、ミィはそのまま眠ってしまった。
 ついさきほど起きた所である。
「今度から気をつけるよ。……学長に怒られるのはもう嫌だからね」
 催淫剤を返しに言ったら、学長に一時間も説教を喰らった。
 危険な薬品を放置していたので、当然と言えば当然である。悪用する気になればどうとでも使える薬だ。捕まらなかっただけ、御の字だろう。
「ぼくも正直調子に乗りすぎたから、ごめんな。ミィ」
 カイムは素直に謝る。
「うん。でも、またやってね。マスター」
 笑い返すミィに、ビスケットを吹き出した。

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