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後編 魔術師の好奇心


 両足を伸ばしたまま、左手の平に座っているミィ。
「マスター……」
 赤い瞳に不安と期待の光を灯したまま、見つめてくる。
 嗜虐的な感情をそそる眼差しに、カイムは軽く自分の舌を嘗めた。
 前触れもなく、ミィの両足が動いた。
「え?」
 突然のことに、驚きの声を漏らす。両足を少し左右に開き、膝を曲げる。だが、その両足は自分の意志で動かしたわけではない。さらに、両手が勝手に動き、緑色のワンピースの裾を持ち上げてみせた。
「結構上手く行くものだな」
 両足を開き、両手でワンピースの裾をたくし上げているミィ。隠すものもなく、白いショーツに覆われた大事な所が丸見えになっていた。
 生地の表面が薄く湿っているのが分かる。
 顔を赤くしたまま、ミィが口を動かした。
「マスター、これって……」
「ミィの作った魔法式を介して、ぼくが手足を動かしているんだよ。ミィが自分の右手のを僕に差し出したのを、魔術でちょっと強引に身体全体に広げてるだけだけど。それ、解除すれば自由に動けると思うよ」
「むぅぅ……」
 カイムの言葉に不服げに喉を鳴らすだけで、ミィは魔法式を解除しようとはしなかった。解除できないわけではない。自分で作った仲介の魔法である。いつでも任意で解除できるような魔法式ではあるが、解除はしない。
 ミィは顔を赤くしたまま、両目を瞑り、顔を逸らす。
 その反応を肯定と受け取り、カイムはそっと右手を伸ばした。広げられた両足の間に指先を差し込み、そっとショーツの上から大事なところを撫でる。
「んっ……」
 微かに漏れる甘い吐息、小さく震える身体。
 カイムは左手の指を折り曲げ、ミィの身体を後ろに預ける。
 うっすらと湿ったショーツの生地の上から、カイムは優しく人差し指を動かした。力を入れすぎると壊れてしまいそうな、小さな妖精の身体。本人の話では見かけ以上に頑丈らしいが、あまり無理はできない。
「んんっ、ふぁ」
 抑えきれない切なげな声とともに、ミィが身体に力を入れる。小さな白い生地に感じていた湿り気が、徐々に大きくなっていくように感じた。
「ちょっと試してみるか……?」
 そう自問してから、カイムは指を放す。
 肩の力を抜くミィを眺めながら、右手の指を空中へと奔らせる。
 文字による魔術の構成。それは少し特殊なものだった。作り出された魔術の術式が、魔法式を介してミィの身体へと流れ込んでいく。
「―――? マスター、何する、つもり?」
 空中に画かれた文字に右手をかざし、カイムは右目を閉じた。
 と同時に、暗くなった視界に移るミィの眺める景色。大きな手の平に座ったまま、カイムを眺めている。その風景は、ミィの作った魔法式を使ったものよりも鮮明だった。
「まあ、技術的な面で興味があってね」
 言いながら、魔術式に命令を送る。
 ミィの小さな両手が、自分のものではないように動いていた。ワンピースの裾を放してから、動きを確かめるように両手を開いたり閉じたりしている。開いていた足も閉じて、カイムの手の平の上に腰掛けた状態になった。
 右手の指が赤い髪を梳いている。
「マスター、これって……?」
「ぼくの指じゃ上手くミィを弄れないから、自分で弄って貰おうと思って。遠隔操作の魔術の複雑な応用……結構なんとかなるものだよ」
 笑いながら告げてから、カイムは魔法式を介してミィの両手を動かした。小さな両手を動かし、緑色のワンピースの上から自分の胸に触れる。手の平が微かな柔らかさを感じるのが分かった。ミィの手の感覚もある程度自分に還元することができる。
「あ……」
 両手が自分の胸を撫でるを眺めながら、ミィが気の抜けた声を漏らした。反射的に眼を逸らそうとするが、術式を介してそれを押さえ込む。視線を逸らされてはミィの手の動きを見ることができない。
「んん、っ。何だか、身体が、ふわふわする……」
 戸惑ったように、ミィが笑っていた。カイムの指では膨らんでいることが分かるだけだが、ミィの手を介してみるとそれなりの膨らみであることが分かる。そして、服の上からでも分かる胸の先の小さな突起。
 ミィの両手が胸から離れた。緑色のワンピースの縁を掴んでから、そのまま両腕を持ち上げる。脱ぎ捨てられたワンピースがベッドテーブルに音もなく落ちた。一緒に外れた三角帽子も、ワンピースの上に落ちる。
「マスター……」
 上半身裸になったミィ。見た目通り子供のような体型で、身体の線自体も細い。それでも、女の子特有の身体の丸みは見て取れる。透き通った白い肌と、微かに膨らんだ両胸。それは人間とは違う美しさだった。
 ミィの両手が自分の胸を撫でる。
「あぅ――!」
 背筋を走った寒気に身をすくめるものの、手は止ることなく自分の胸の先端に伸びる。桜色の小さな突起を、両手の指先で転がすように刺激し始めた。
「あっ、ふぁ、マスター。んんんっ、胸がピリピリする。何これ……」
 胸から背筋を通り、全身へと広がっていく痺れ。それは、カイムの指では与えることのできない快感だった。ミィ本人にとっても初めてのものだとう。
「うんン……」
「自分で触るのと、ぼくが触るのと、どっちがいい?」
 背中を丸めるミィを見つめながら、カイムはそう尋ねる。そうしている間も、ミィの手は自分で胸を弄り続けていた。乳首を触りながら、胸全体を優しく撫でている。
 ミィは小さく首を振ってから、
「分かんないよぉ」
「そうだろうな」
「ふぁ、それより、胸ばっかり」
 四枚の羽を何度か跳ねさせながら、ミィが泣きそうな顔を向けてきた。両目にはうっすらと涙が浮かんでいる。中途半端な刺激で苦しいのだろう。
 嗜虐心を刺激するその表情に、カイムは一度喉を鳴らす。
「ああ。すまん」
 胸を触っていた手が下半身に伸びた。腰を少し持ち上げてから、三角形の白いショーツを脱ぎ捨てる。露わになる秘部、産毛も何も生えていないきれいな縦筋。
 小さい布が狙ったようにワンピースの上に落ちた。
「あうぅ。マスター、恥ずかしい」
「なら魔法式を外せばいいじゃないか。簡単に外せるだろ?」
 眼を逸らそうとするミィに、カイムはからかうように告げた。
「マスターのイジワル……」
 怒ったように赤い瞳を向けてくるが。
 その視線とは関係なく右手が動き、軽く秘部に触れた。
「ッ!」
 背筋を軽く反らしながら、ミィは声にならない声を上げる。ぴんと伸びる透明な羽。カイムが触ったことはあるが、こうして自分の手で触ったのは初めてなのだろう。
 右手が細くきれいな秘裂を上下に撫でる。
「ひぁ、ああぁぁ……マスタぁ。何これ、あっ、何コレ……!」
 上下に動く指に合わせて、ミィの身体が不規則に跳ねていた。両手両足が引きつり、首が上下に揺れる。赤い髪が大きく動き、二対の羽も痙攣するように揺れていた。それは今までに味わったことのない直接的な快感なのだろう。
 右手人差し指で縦筋をなぞりながら、左手の指で小さな淫核を優しくつつく。
「ひゃぅ! あぅ、んんッ! ふあぁっ!」
 神経を貫く快感に、ミィが甘い悲鳴を上げていた。両目をきつく閉じ、背中を丸めて、何度も小さく痙攣する。脳内に火花が散っているのだろう。小さな指で直接性感の中心を触る――ミィの身体を動かしているからこそ可能なことだった。
「そろそろ、限界かな?」
 そう呟いてから、カイムはミィの手の動きを変える。右手の中指で小さなすじを丁寧に上下に撫でつつ、親指で軽く叩くように淫核を刺激した。同時に薄い胸の膨らみを包み込むように左手を動かし、小さな乳首を指先で転がす。
「ふあッ! マスター、スゴいッ――! あッ、んんんッ、ふあぁああ!」
 絶頂に上り詰めるまで、時間はかからなかった。
 身体を二、三度大きく跳ねさせてから、ミィが大きく背筋を逸らす。筋肉が収縮して、手足が意志とは関係無くぴんと伸びた。それとともに、身体の動きに介入していた魔術式が壊れる。魔法式に繋いでいられる限度を越えたらしい。
 十秒近く手足を硬直させてから、ミィは糸が切れたように脱力した。両手両足を力なく下ろしたまま、荒い呼吸を繰り返している。
「どうだった、ミィ?」
 両手で力の抜けた身体をそっと支え、カイムは尋ねた。自分の意志ではないとはいえ、自分の手を使って自分を絶頂に導いたのである。ミィにとっては初めての自慰行為だっただろう。ついでに、カイムの魔術の練習にもなった。
 しかし、ミィはどこか不満そうに見つめてくる。
「気持ちよかったけど……。やっぱり、マスターの手の方がいいな」
「その言葉に嘘は無いな?」
 にっと微笑むカイムに、ミィは困惑するように目を泳がせる。
「えっと……」
 だが、カイムは返答を聞くこともなく、ミィの身体を両手で掴んでいた。
 親指を使って両足を開かせる。
 一糸まとわぬ姿のまま、足を左右に広げたあられもない姿。頭のてっぺんからつま先まで、隠す物は何もない。平坦な胸も、濡れた秘部も丸見えになっていた。
「うぁ、マスター……」
 顔を真っ赤にしたまま、両手で隠そうとするが、両手もきっちり指で掴まれている。
 カイムは気楽に笑いながら、ミィの身体をじっくりと眺めた。
「妖精ってやっぱりきれいだな」
「むー。そんなにじっと見ないでよ……」
 怒ったよう言ってくるが、無視。自分の唇を一度嘗めてから、カイムはミィの身体に顔を近づけた。子供のような身体を丹念に観察する。
 ミィは不安げなままきょろきょろと周囲に視線を向けていた。
 カイムは舌を出し、ミィの秘部を軽く嘗めた。
「ひゃぅ!」
 突然の刺激にミィが細い悲鳴を上げる。
 だが、構わずカイムはミィの秘部へと舌を這わせた。舌先で濡れた細い縦筋を上下に撫でてから、その周囲へと舌の愛撫を向ける。味覚に感じる微かな塩気。
「ふぁあっ、マスタァ――。それは、駄目っ、駄目だよっ。んんっ、そんなところ、嘗めないでぇ……ナメちゃダメっ、ッ。ふあッ、ひっ。あッ、あぁっ!」
 唾液で濡れた舌が、ミィの太股から下腹部、お腹や胸、脇腹から脇の下まで、丁寧に移動する。舌の表面に感じるミィの身体の形。舌での愛撫を続けながら、カイムは両手を動かし、指で羽を摘んでいた。
「!」
 快感に震える薄い四枚の羽を薬指と小指を使って攻めていく。ミィは何かを拒むように首を左右に振った。赤い髪の毛が翻える。
「あふぁっ! 羽、はねは……ッ! マスター、駄目ッ――頭が熱いぃ。溶けそうッ。あああッ……んッッッ! 待って待っテ、ふああッ! 羽は……!」
 カイムの手の中で、ミィは甘く溶けた悲鳴を上げていた。身体を痙攣させながら、立て続けに絶頂を迎えている。舌の動きと両手の動きに、ミィの反応。さながら、小さな楽器を両手で演奏しているような錯覚を覚えた。
 小さな身体を襲う快感に、ミィの意識が飛びかけている。
 カイムは羽の付け根へと指を触れさせた。羽の付け根部分、妖精の急所。
「ふぁ……」
 途端、今まで元気に動いていたミィから、糸が切れたように力が抜ける。まるで筋肉が融けてしまったかのように。赤い瞳の焦点は既に定まっていない。それでも、ミィを嘗める舌の動きは変わらない。
 カイムは羽の付け根を指先で擦った。
「ううぅ、ああぁぅ……ますたぁ、そこは駄目ぇ、駄目だよ……、ふぁっ、あぅぁ。やめてぇ、ます、ますたぁ。んぁ、んぅ、身体が融け、ちゃうよぉ、んん……」
 気の抜けた声音で、必死に言ってくる。
 先程までの大きな反応は消えていた。だが、敏感な部分をまとめて攻められ、その快感はさらに深く濃いものとなっていく。許容量の限界は越えているだろう。
「ますたぁ……。ふ、あっ、もう壊れる、かも……」
 秘部からとめどなく溢れてくる液体を嘗めながら、カイムは指の動きを徐々に繋げていった。各部を攻めていた動きを連携させ、より深く強い快感を生み出していく。溶鉱のような快感が、ミィの体内を駆け抜けた。
「ああああッ! マスター! 駄目駄目、待ってッ! 熱い、熱いよォ。んんんんッ! ひッ、ふぁッ、あああッ! わたし、わたシ、壊れちゃう!」
 脱力した手足を細かく震わせるミィ。
 だが、カイムは攻める動きを止めない。
「マスタァァ! あ、ふあっ、マスタァ、もう駄目駄目、ダメ……ぁ――!」
 ミィの身体が大きく跳ねた。
 それで限界と判断し、カイムは口と指を放す。
 カイムの手の中で、ミィは両手両足を強張らせたまま、背筋を仰け反らせていた。光の消えた瞳を虚空に向けたまま、爆ぜる快感に舌を突き出す。今までで最も大きな絶頂を迎えたのだろう。
 その体勢のまま、十数秒ほど小刻みに震えてから、脱力する。
 両手の中で、ゆっくりと呼吸をしているミィ。光の消えた赤い瞳をどこへとなく向け、口元からだらしなく涎を垂らしていた。
「――ァ、――アァ。マス、たあぁぁ……」
「大丈夫か?」
 さすがに心配になって声を掛ける。
 しかし、ミィは瞳に無理矢理光を灯し、カイムを見つめて力なく微笑んだ。
「大丈夫……」

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