Index Top 第6話 夏休みが始まって

第2章 おしおき 前編


 カチャリとドアノブを捻り、浩介はリリルの部屋に入った。
 パイプベッドや机、本棚、テーブルなどが置かれた簡素な部屋。浩介が買い与えたパイプベッド以外は自分で作ったらしい。手製とは思えないほどによく出来ているが。
「お待たせー」
 ベッドの上で毛布にくるまり、顔だけ浩介に向けているリリル。現在時刻九時。昼の三時過ぎから、六時間ほどひたすら耐えているのだ。目元には涙が浮かんでいる。
「秘蔵データ含めた20Gくらいは復元できた。まあ及第点だろな。結構何とかなるものだ。あんなに絶望することもなかったな。うん、日頃の行いは大事だ」
「そうか、良かったな」
 掠れた声でリリルが皮肉を言う。
「もっとも、お仕置きをしない理由にはならないけど。俺はパソコン壊したこと許す気はないからな。残りの80Gは修復不能だし」
 浩介はベッドに腰を下ろし、毛布を無造作にはぎ取った。
 猫帽子とワンピース姿のまま、両手で枕を抱き絞めている。まるで凍えた子犬のように身体を震わせていた。
 ぽんと浩介が背中に置くだけで、ビクリと反応する。
「お、いい反応」
「おかげさまで、な……!」
 軽口叩く元気はあるらしい。
 浩介はリリルの身体に手を回すと、そのまま自分の膝の上に乗せた。左手をお腹に回して、身体を固定。一番最初の時もこんなことをしていたような気がする。実はほとんど覚えていないのだが。
「あらかじめ言っておくが逃げるなよ。さて、リクエストは?」
「ない……ッ! ッ」
 浩介はリリルの尖り耳を口に咥えた。耳を口に含んだだけだというのに、面白いように反応してくれる。本人の意思とは背筋を硬くし、呼吸が止まった。
 甘噛みした状態から歯と舌を優しく動かす。
「あっ、っっッ、ぅぅ」
 リリルの口から漏れる甘い吐息。必死に耐えるが、無駄な抵抗だった。
 出来上がったままひたすら待たされた身体。ただ口で耳を攻めるだけで、快感が全身を貫く。本格的に攻めたらどんな反応を見せるだろうか。
 顎を上げて耐えるように歯を食い縛っていた。
「っぅぅ。ッッ……放、せ」
 言われた通りに、口を放す。リリルの身体から力が抜けた。
 だが、次の動きも待たずに、浩介は尻尾を掴む。
「っ!」
 反応するリリルを眺めながら、尻尾の先端の三角部分を両手でくにくにと弄った。ゴムくらいの柔らかさと弾力で、手触りは上質の皮革に似ている。
「っ……ぅぐ……。やめ、ろ……」
 すがりつくように枕にしがみつき、リリルが声を返した。かなり追い詰められてはいるが、まだ余裕はあるだろう。
 浩介は尻尾から手を放し、抱えていた枕を抜き取った。
「待て、何する気、だ……!」
 支えを失い焦るリリルの胸に両手を回し、そっと包み込む。
「!」
 鋭い吐息。ぴんと伸びる黒い尻尾。まだ触っただけだが、反応は良好。子供用下着と薄手の服の上から辛うじて分かる胸の膨らみ。
「このまま撫で回したら、どうなると思う?」
「やめ……ッ! くっ、ひっ、っぁぁ」
 必死に声を噛み潰すリリル。
 浩介は両手をさわさわとと動かし始めた。手の平に伝わってくるのは肌ではなく、滑らかな布の手触り。そして、微かに膨らんだ胸の柔らかさ。子供の状態なので手で揉めるほどの大きさはないが、控えめな胸の方が好きだった。
「くっ、うぅ。この……エロ、狐ぇ」
 引きつった声を漏らしながら、肩越しに睨んでくる。涙の滲んだ金色の瞳。手を止めようと両手で掴んでくるが、力はほとんど入っていない。
 浩介は両手の人差し指で乳首の辺りを弄りながら、狐耳を動かす。
「このまま乳首摘んだらどうなる?」
「あっ、ああっ、待て……!」
 焦るリリルだが、命令によって逃げることもできない。
 指先に感じる小さな突起。既に服の上から分かるくらいに起っていた。この状態で放置されていたのは、かなり辛かっただろう。
「じゃ、試してみるぞ」
「ッ! ……ッァ!」
 リリルの身体が、びくりと跳ねた。口を大きく開けて、舌を突き出す。浩介の人差し指と親指が服の上から、やや強めに摘み上げていた。
 さらに、指先で転がすように刺激してやる。
「ああ、あぁぁ……」
 リリルの喉から漏れる、苦悶と恍惚の混じった甘い声音。身体は完全に出来上がっているのに、命令のせいでイくことができない。
 浩介はぱたぱたと尻尾を動かしながら、指を動かす。
「ちく、しょうぅ、ぅあぁ――。ヘン、ッッくぅぁ、タイ……がぁぁ……!」
 口元から涎を垂らしながら、リリルが呻いた。まだ元気である。
 浩介は指を止めて、両手を放した。身体から力が抜ける。へなりと落ちる尻尾。
 安心したような名残惜しそうなリリルの表情。肩で息をしながら、虚ろな金色の瞳で浩介の手を見つめた。
「まだ前菜だからな」
「な、に?」
 息を呑むリリル。
 浩介はリリルを膝から下ろすと、ワンピースの裾を掴み、素早く捲り上げた。元々緩めのサイズだったので、思いの外あっさりと脱がすことが出来た。
 あっけにとられるリリルの肩を掴み、そのままベッドに押し倒す。浩介はベッドから降りて、傍らに腰を下ろした。まさにまな板の鯉状態。
「これは、かなり扇情的な。あと、身体隠すなよ」
 見た目小学生高学年の少女。単褐色の滑らかな肌、子供特有の凹凸の少ない身体で、筋肉質の引き締まった四肢。身体に刻まれた黒い稲妻模様。胸を包むタンクトップ型の白いジュニアブラと、下半身を包む太股丈の黒いスパッツ。頭の猫帽子はそのまま。
「おマえ、はァ――」
 目元に涙を溜めながら、リリルが呻る。
「絶対に殺し……ッ、ックゥ!」
 言葉は最後まで言えなかった。
 浩介の右手がブラジャーの中に滑り込んでいる。手の平に伝わってくる、滑らかな手触り。人間よりも数段きれいな肌をしていた。
 さわさわと、ブラの中で手を動かす。
「んんン! っっっ、ああぁぁ!」
 胸から全身に広がる痺れに、リリルはなすすべなく悶えた。しかし、命令されているので逃げることも隠すこともできず、浩介の攻めを甘受する。
「死、っぅ、ね……っっ、このっ、ド、スケベ……! ぅぅ、あうぁッ」
「俺はドスケベだ。文句あるか?」
 浩介は左手をリリルの肩に回し、身体を持ち上げた。右手でブラジャーを脱ぎ払い、適当に放り捨てから、身体をベッドに下ろす。
 露わになる小さな胸。ほんのりと分かる控えめな膨らみと、つんと起った淡い色の乳首。羞恥心に顔を赤く染めて、きつく眼を閉じているリリル。
「こうして見ると、相変わらずきれいだな」
「うるせ、い……。一度、地獄に、墜ちろ……!」
 擦れ声で言い返してくる。
「お仕置きー」
「ッッ!」
 浩介は両手でリリルの乳首を摘んだ。やはり服の上から摘まれるのと、直接摘まれるのは感度が違うらしい。指先に感じる張りのある突起。
 だが、すぐに指を動かすことはしない。
「この……!」
 歯を食い縛ったまま、リリルが威嚇の視線を向けてくる。目元に涙を浮かべ、濡れた子犬のように震える金色の瞳で必死の威嚇。だが、どう贔屓目に見てもいじめてオーラを出しているようにしか感じられない。
 前触れなく、浩介は指を動かした。
「……ッ、あぁぁぁあッ! やめ、やめ、くぅぅぅぁぁ、ああぁッ!」
 身体を仰け反らせて悲鳴を上げるリリル。両手でシーツを握り締め、指から逃げるように必死に身体をくねらせる。だが、無駄な抵抗だった。
 命令が掛けられているせいで、逃げ出すこともできない。
 身体を左右に動かしながら、涎と涙を流す。
「イヤだ……ッッ、ああッ、あッ」
 浩介は指を放した。指を舐めてみると微かに塩気を帯びた汗の味がする。
 刺激が終わり、脱力して荒い呼吸を繰り返すリリル。
「はっ、っあっ、絶対に、ッッ、復シュ、ウしてヤル……」
 だが、この程度で終らせる気はない。
 浩介は右手をリリルのお腹に置いた。指先で黒い稲妻模様の上をなぞる。
「復讐って……パソコン壊して全データ吹っ飛ばしたのは、紛れもなくお前だろうが。俺が長年の月日を重ねて集めてきたデータの八割が消えたんだぞ。お前が同じ立場なら泣きながら暴れてるだろ」
 事実を指摘され、リリル視線を逸らした。
 だが、注意をお腹から逸らすことはできない。性感帯ではないものの、今の状態で撫でられただけで十分感じる。声は漏れないものの、手の動きに合わせてぴくぴくと小さく反応していた。
「ふふふふふ、メインディッシュー」
 浩介は腰の辺りに視線を移す。

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