Index Top 第4章 物語は急展開する |
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第6節 世界を変える力 |
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白の剣は奪い返した。 鋼の書も手に入れた。 石の机に置いてある白の剣と鋼の書を眺めながら、ハドロは笑みを浮かべる。 魔法の光明が浮かぶ、廃城の一室。元は会議室か何かに使われていたのだろう。部屋の中央に大きな石の机が置かれていた。だが、部屋としての役割は果たしていない。壁と天井の半分がなくなっている。外の風景が見えていた。 「これで、最強の生物を作ることができる」 呟きながら、ハドロは鋼の書を手に取る。"鋼の"というだけあって、普通の本よりも重い。表紙には、何も記されていない。 鋼の書を開く。 「……?」 大量の文字が書かれていると思っていたのだが、始めの方は空白である。文字が書かれているのは、自分その場にいる部分だけだ。しかし、その場にいたにも関わらず、夕方の戦いの部分では、あちこちが抜けている。 とりあえず、今現在のことは欠落なく書かれていた。現実が書き込まれるという伝説通り、読み進めるうちに文字が徐々に書き込まれている。 「本物だな」 確認してから、ハドロは鋼の書を置いた。 息を吸い込み両腕をかざすと、 「出でよ。グレートディーヴァ・エイゲア!」 召喚の声に応じ、空間の隙間からエイゲアが姿を現す。威圧感さえ感じるほどの邪気と迫力に、ハドロは笑みを浮かべた。あのシギをも凌ぐ戦闘能力。魔道技術を駆使して作り上げた最高傑作。 だが、力不足だ。今よりも、何倍も何十倍も強くしなければならない。 そのために、白の剣がある。強化の段階に入る直前で、白の剣をシギたちに奪われ、使うことができなかったのだ。 ハドロは鋼の書を手に取り、懐からペンを取り出す。鋼の書の使い手は念じるだけで使えるらしいが、自分は直接書き込むしかない。 「エイゲア、白の剣を手に取れ」 命じられるままに、エイゲアが白の剣を掴む。 ハドロは鋼の書にペンを走らせた。 《白の剣は、エイゲアの力と共鳴し、膨大な力を生み出した。その力は、螺旋を描くようにエイゲアの身体へと吸い込まれていった。エイゲアの力が見る間に増大していくのが分かった。身体に力が満ち溢れている》 書き終わり、ペンを鋼の書から離した。 白の剣を片手に、エイゲアは佇んでいる。その全身からは、湯気のように白い煙が立ち上っていた。明らかに、さきほどまでのエイゲアではない。 ハドロは無言の哄笑を上げて、外を示した。鋼の書と白の剣の力によって強化されたその力、是非とも見てみたい。 「やれ!」 エイゲアは腕を振った。 その手から放たれた魔力が、漆黒の衝撃波となり大地をえぐる。音は聞こえない。あまりに音が大きすぎて、耳が受け付けない。土煙が舞い上がり、大気が震えた。 その破壊力に、武者震いを覚える。 土煙が消えた後には、公園ほどの巨大な穴だけが残っていた。 「素晴らしい!」 白の剣の力を取り込んだことにより、エイゲアの力は元の数倍に増している。これならば、どんな相手と戦っても負けることはないだろう。まさしく最強の生物。 その強大な力を、戦闘で試してみたい。 「まずは……」 ハドロは不吉な笑みを浮かべた。 |
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