Index Top ネジまくラセン!

第19話 同じもの


 緑色の瞳がラセンを見つめている。
「ラセンさん、可愛いデス……」
 どこか呆けたようなルクの呟きに、ラセンは息を呑んだ。人間サイズのルクと、人形サイズのラセンではどうしても覆せない体格差。
「おい……! 目付きが危ないぞ。というか、離せ……!」
 慌ててルクの左腕を掴む。
「っ」
 が、ラセンの右手が沈んだ。触れた感触はあったのだが、そのまま水に沈むように手が腕の中に呑み込まれる。ほのかに暖かい液体。しかも手にしっかりと絡み付き、引き抜くことができない。
 ラセンを抱えたまま、ルクがソファに腰を下ろす。
「無理ですヨ。ワタシの身体って、半分液体ですかラ……。今は結合緩めてありますシ。こういうこともできるんですよヨ」
 ルクの右手が溶ける。
 青い半液体が、白衣の襟元から流れ込んできた。
「あっ、待っ……」
 それは意志を持つような動きである。事実ルクの意志通りに動いているのだろう。青い液体が白衣の隙間から、さらにレオタードの隙間へと入り込んでくる。まるでラセンの身体をなぞるように。
「ひっ」
 ルクの右手が、ラセンの胸に触れた。緩やかなふたつの膨らみを丁寧に撫でる。
「ラセンさんの身体柔らかいデス。ワタシとはやっぱり作りが違うんですネ」
 肌を撫でる液体と、ルクの手の動きに、ラセンは歯を噛み締めた。
「んんっ! お、お前は……」
 ぴりぴりと痺れるような感覚。決して苦しいものではなく、むしろ心地よい。身体の芯が犯されていくような快感。口元から涎が垂れ、身体が震える。
「んんっ!」
 胸から走った弱い衝撃に、ラセンは喉を強張らせた。お腹が空いている。ルクの言った言葉が頭に浮かんだ。ラセン自身に自覚のない空腹感。この飢えから生まれる快感。空腹の生き物が食事を求めるように、消費された情報を求める。
「ぁぁ……」
 狐耳と尻尾が引きつるように跳ねた。
「この耳も良い感ジです」
「ひぅ」
 ルクの右手がラセンの狐耳を摘んだ。
 それだけではない。青い液体が胸の突起を摘む。レオタードの隙間に潜り込んだルクの身体は、ルクの意志で動く。青い液体は締め付けるように、ラセンの小さな乳首を転がしていた。
 ラセンを見つめるルクの瞳からは、どこか正気の色が抜け落ちていた。
「ぅあぁぁ……! やめろ――! おかしくなる……ッ! んッ!」
 ぬるりと動き液体が、身体を丁寧に撫でている。オーキの手とは全く違う快感だった。全身から身体の奥に染み込むような、甘い衝撃。
「んっ!」
 尻尾を掴まれ、ラセンは身体を強張らせた。
 両腕で抱きしめられ、身体の半分がルクの身体に沈んでいる。自分では身体を動かすこともできず、ラセンは無抵抗のまま全身を愛撫されていた。
「尻尾弱いんですネ?」
 変わらぬ淡泊な口調で、ルクが呟く。
「んぁぁ……。はっ、ひっ……!」
 溶けたルクの手が尻尾に絡み付いた。
 服は着たままだが、液体状のルクの身体は問題なくその隙間に入り込んでくる。明確な意志を持った液体が、胸を弄り、狐耳を弄り、尻尾を弄っていた。
 思考が溶けるような心地よさに、ラセンはただ息を吐くことしかできない。
 カチリ。
 背中のネジが鳴った。
「んー。そろそろいいでしょうカ?」
 ルクが右手をスカートの中に入れる。
「!」
 足の付け根に触れる指の感触に、ラセンは意識を引き戻された。
 ルクの指がレオタードの生地を横にずらす。そのまま指先をラセンの秘部へと触れさせた。大事な部分に触れられた感触に反射的に足を閉じるが、ルクの腕は崩れてラセンの足を包むだけだった。
 ぬるり。
「ああっ!」
 ルクの指がラセンの膣へと差し込まれる。
 オーキのものや指とは違う、奇妙な感覚だった。大きくもなく小さくもなく。膣の奥へと抵抗もなく差し込まれるルクの指。不規則に動きながら、ラセンの中を刺激する。
「どうですカ? ラセンさん、気持ちいいですカ?」
「んんっ! はっ、ふぁっ!」
 返事もできず、ラセンは擦れた息を吐き出した。
 液化したルクに身体中をまさぐられ、溶けるような快感が身体の芯を襲う。狐耳を尻尾を、胸をお腹を、そして膣を。ルクの液体の身体は容赦なく蹂躙していく。抵抗する事はできなかった。
 意識を焼く快感に、ラセンは無力に震えるだけだった。
「ラセンさん……」
 名を呼ばれ、ラセンはふと顔を上げた。
 緑色のルクの瞳がラセンを見つめている。
 そして、ラセンの口にルクの唇が重ねられた。口の中へと入ってくる溶けたルクの身体。膣の中で動いていた指がその奥を叩く。
「んんんんッ――!」
 ラセンは大きく身体を痙攣させた。
 目元から涙をこぼし、背筋を仰け反らせる。ぴんと伸びる狐耳と尻尾。オーキと交わった時とは違う絶頂感。まるで全身が溶かされるような錯覚。それと同時に、身体の中で何かが満たされていく。
 数秒して、ルクがラセンの口から唇を離した。
 ラセンの中に入っていた指を引き抜く。
「お前……」
 ジト眼で見やると、ルクの緑色の瞳には正気の色が戻っていた。ラセンの情報が補充されたため、それに伴い引っ張られる力が消えたのだろう。
「あぅ。すみませン……」
 ルクが申し訳なさそうに謝った。

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13/4/11