Index Top 第7話 緑の出来心 |
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第2章 暴走 |
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「可愛いですね、ミゥは」 ピアの手がミゥの頬を撫でる。 唾を飲み込み、ミゥは自分にのし掛かっているピアを見つめた。朦朧としているようで思考ははっきりしている。何かが切れてしまった目付きだった。 頬から首筋、胸元へと手が動く。 「ミゥって胸大きいですよねぇ。ちょっと妬いちゃいます」 「うん……」 服の上から胸を撫でられ、ミゥは身を捩らせた。火照った身体に甘い快感が染み込んでいく。片目を閉じ意識を逸らそうとするが、それもままならない。 「いい反応ですよ」 ピアは遠慮無くミゥの胸を揉むピア。 「あっ、ピア、待って下さい……。ふあ」 右手でピアの腕を掴むが、力が入らない。 ふと手を放し、ピアが身体を起こした。 「でも、ミゥだけ気持ちよくなっててズルいですね」 ミゥの腰の辺りに座ったまま、両手で聖職衣のボタンを外していく。厚手の白い生地をはだけると、簡素な白い下着が見えた。酔いのためか興奮のためかほのかに赤くなっている白い肌。 ミゥが何もできずにいるうちに、ブラジャーまで取ってしまう。 露わになった自分の胸を両手で寄せ、ピアは微笑んだ。 「どうですか? ミゥほど大きくないですけど、わたしの胸もきれいですしすべすべですし柔らかいですよ。ミゥも触って見て下さい」 ミゥの手を取り、自分の胸に当てた。 柔らかな感触が手に伝わってくる。小さな手の中で形を変えるピアの乳房。 「ん。あっ、ふあぁ……」 ピアが甘い声を漏らした。 ミゥは息を止めた。自分の手の動きでピアが快感を得ている。普段のピアからは考えつかないような状況に、ミゥは心臓の行動が早まるのを感じていた。 「ふふふ。いい顔です」 頬を染め、ピアがだらしなく微笑む。 胸から手を放し、ミゥのシャツのボタンを外し、服を左右にはだけた。ミゥは抵抗もできずにピアの手を見つめる。止めなけばならないと思っているのに身体が動かない。 ブラジャーの留め具を外され、ミゥの胸が空気に触れる。 「あ、ちょっと……」 普段入浴の時などはお互い裸を見ている。裸になることが恥ずかしいわけではない。しかし、ミゥは言いようのない気恥ずかしさを感じていた。 ピアがミゥの乳房に触れる。 「あっ」 背筋に弱い電撃が走り、ミゥは身を竦ませた。 服の上から触られた時とは違う熱い刺激。 「んんっ。なんか、すごい……! しびれ、ます……」 ピアの手になすすべ無く悶える。 「わたしの胸も触ってみてください」 「はい」 言われるがまままにミゥはピアの胸に触れた。滑らかな肌。手の平に吸い付くような感触に身震いする。大きくもなく小さくもなく、程よい膨らみだ。 「あっ」 ミゥの手が動き、ピアが心地よさに片目を閉じた。 「ん。いいですよ……」 「あっ、んん……」 手が動く度に、身体の芯まで染み込む快感が生まれる。ミゥは顔を赤く染め、荒い呼吸を繰り返しながら、切なげに身をよじった。 同時にピアの胸を丁寧に愛撫する。 右手で胸の縁から撫で、包み込むように揉み、指先で先端の突起を摘む。 「ん……」 震えるピアの身体を見上げながら、ミゥは片目を閉じた。 普段なら絶対に見ないだろうピアの姿。そして、絶対に見せないだろう自分の姿。お酒と媚薬のせいもあるが、お互い異様な姿を晒している。 ピアがミゥの首に手を回し、身体を持ち上げた。 「ピア……」 銀色の瞳がミゥを見つめる。 目蓋を半分下ろした眠そうな目立った。溶けたような視線が眼鏡越しにミゥを捕らえている。まともな思考は働いていない。卑猥な顔だった。 自分も同じ顔をしているのだろう。 「可愛いですね。ミゥは」 両手でミゥの頬を挟むピア。 「ピ……むぅ」 そのまま唇を重ねる。 柔らかい唇だった。舌を絡ませ、口の中を舐めあう。口の中が甘く溶けるような感覚だった。このような口付けをするのは初めてである。 「ん……ぅ……」 思考が曖昧になっていた。五感が妙に鋭くなっていく。 胸の奥が燃えるように熱い。ピアとミゥは口付けをしたまま胸を触り、あちこちを撫でていた。まるでお互いの身体の形を確かめるように。お腹や背中を撫で、そのたびに身体が小さく震える。 「こっちはどうなってるでしょね?」 唇を離し、ピアが手を下へと伸ばす。 緑色のハーフパンツの中へ。下腹を通り、ショーツの奥へと。 背筋に電撃が走った。 「あああっ!」 身を竦ませ、ミゥは小さく叫ぶ。目の前が一瞬白く弾けた。 ピアが手を持ち上げ、指先を舐めた。 「あら。軽く達してしまったようですね」 「そ、そうですね……」 力無く笑い返しながらミゥは答えた。 身体の奥が焼けるような熱を帯びていた。性的絶頂。それこそ数えるくらいしか無い体験を思い返す。女性体だけのフィフニル族には必要無いだろう感覚。 ミゥの手を取り、ピアは自分の股間に当てた。 「濡れてます……」 ショーツの生地越しに感じる湿り気。 心臓の鼓動が体内に響いている。 ミゥは引き込まれるようにピアのショーツの奥に手を差し込んだ。熱く湿気を帯びた小さな縦筋を指先で撫でる。 「ん、ぁっ。いいですよ、ミゥ。その調子です」 耳元でピアが囁いた。 ピアの手がミゥのハーフパンツの中へと伸びる。 ピア同様濡れた秘部をゆっくりと指で撫でていた。神経を流れる快楽の痺れに、ミゥは言葉を失っていた。思考力も低下している。 「んっ……。ああっ、ん……」 「うん、ふふ……。はぁ、はっ……」 二人しかいない部屋に、悩ましげな吐息が響く。 不意にピアが言った。 「んぁ……。ミゥ、羽を出しなさい」 「は、ね?」 疑問に思ったが、それ以上は考えられなかった。言われるがままに背中に妖精炎を流し、六枚の羽を顕現した。丸みを帯びた緑色の羽。葉脈のような薄い線が入っている。よく木の葉のような形と言われ、自分でもそう考えている。 羽から全身に衝撃が走った。 「あああっ!」 口から漏れる声。 「ぴ、ピアっ?」 「ふあっ。羽は、いいでしょう……」 ミゥの羽を左手で撫でているピア。 手が動くたびに衝撃のような快感が全身に走る。声もまともに出ないくらい。まるで羽が自分の身体ではなくなってしまったように。興奮した時には羽が敏感になることは知っていたが、体感するのは桁が違う。 「あぅ、あはっ……」 口元から涎が垂れるが、拭く余裕もない。 ピアが耳元で囁いた。 「わたしの羽もお願いしますね?」 「あっ、はい……」 ピアの背から六枚の羽が広がった。金色の光を固めたような羽。 ミゥは言われるままに羽に手を触れさせる。 「んんん……!」 ピアが喉を引きつらせた。 羽から、秘部から熱が全身を駆けめぐる。もう何がどうなっているのか分からない。右手でピアの縦筋をなぞり、左手で羽をなでる。貪るように。 「ああっ。ピアッ、ボク……もう」 そして、ミゥは両目を閉じた。 「ふっ、あああ、あぁぁ――!」 下から突き上げるような衝撃に悲鳴を上げる。頭が真っ白になり、全ての感覚が一瞬消え落ちる。数拍置いてから、薄い落下感ととも現実へと帰還。 口の奥が痺れていた。 絶頂を迎えたのだとミゥは理解する。 身体の奥から緩慢に熱が引いていくのが分かった。同時にのし掛かってくるけだるさ。激しい運動をしたような疲労である。 「ああ、これで大丈夫でしょうか?」 千景の髪の毛や唾液から作った媚薬の効果は切れただろう。なんとなく分かる。吹き飛んでいた思考が戻るにつれ、意識が冷静になっていく。 ふと見ると、ミゥの膝に乗っていたピアの姿がない。 「ピア……?」 ピアが横に倒れていた。聖職衣をはだけたままベッドに寝そべっている。目を閉じ脱力していた。気を失っているらしい。 「あー。どうやって誤魔化しましょう?」 |
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