Index Top 第6話 紫の訪問 |
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第7章 勉強の時間? |
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両手で胸に触れる。 胸を寄せてみると、胸元に見事な谷間が作られた。 「大きいな」 千景は正直に呟いた。服を着ていると分かりにくいが、直接触れてみると大きさがよく分かる。胸の下に両手を差し込み、乳房を持ち上げてみた。 性的というよりも奇妙な感覚である。 手を動かし胸の膨らみを撫でながら、ヅィは首を傾げた。 「そうじゃのう? ミゥほどではないが、大きい方に入るとは思うぞ?」 小柄な体格の割に胸の大きなミゥ。ミゥほどではないが、ヅィの胸は大きい。 胸を撫でていると、下腹の辺りから熱い感覚が広がっていく。背筋を撫でる淡い痺れが背筋を駆け上がっていた。意識せず太股を擦り合わせる。 「んっ」 喉から漏れる細い息。 視界に薄い霞が掛かったような錯覚。 「熱いな……」 千景は長衣のボタンに手を掛けた。上から順番にボタンを外し、布をはだける。男と全く違う、細く緩い曲線を描く体付き。肩から胸元にかけての膨らみ。お腹から腰にかけての曲線。細い両足。それらを紫色のブラジャーとショーツで覆っている。 千景は右手でお腹を撫でた。 きめ細やかな皮膚と、滑らかな曲面。 「きれいな身体だな」 正直な感想を漏らす。 千景は足の付け根へと手を伸ばす。 「触るぞ」 「好きにしろ。妾は一度言った言葉は曲げぬ」 ヅィはそう答えた。 千景はショーツの縁をなぞる。皮膚にぴったりと張り付く布地。絹のような滑らかな素材だった。布地全体が伸縮性を持って腰を優しく締め付けている。 舌にたまった唾を呑み込む。 心臓の音が頭に届いていた。 右手を両足の付け根へと差し込む。 あるべきものがない。その違和感はあった。 「くぅ……」 紫色の布地の上から、千景はそこに人差し指を這わせる。布地越しにも分かる、小さな縦筋。身体の奥が熱を帯びていた。喉の奥が乾く。 ベッドに座ったまま、千景はゆっくりと指を動かした。 「お前は自分で慰めたことってあるのか?」 訊く。 今千景が感じているものは、ヅィも感じているはずだ。上がっている呼吸も、時折引きつる手足も、薄く滲む汗も。全部分かっている。 しかし、ヅィは平静に口を動かした。 「ないのう。そういう行為がある事は知っておるが、自分でやってみようという気にはならぬ。する理由もないからの。これが初めてじゃ」 「そのわりには、かなり感じてないか?」 ショーツが薄く濡れている。神経に染み込むような熱い情欲。 千景が気付いているのだから、ヅィが気付いていないはずがない。 「ん……」 ヅィが声を漏らす。 千景はショーツの中に手を入れた。濡れた縦筋を指でなぞり、その小さな突起を指の腹で擦り、押し潰す。左手でブラジャーの上から乳房をもみほぐしながら。 「あっ」 喉からこぼれる甘い声。それが千景のものなのかヅィのものなのかは分からない。胸が締め付けられるような息苦しさ。背中を駆け上がる疼き。 「くっ、んん……!」 千景はきつく目を閉じた。 背中を丸め、体内に広がる快感を受け止める。 「んんっ! あっ……ふっ!」 二度、三度と身体を跳ねさせてから、ベッドに仰向けに倒れた。絶頂を迎えたらしい。男の射精感とは全く違う衝撃だった。目蓋の裏側に星が散っている。 目を開けた。 白い石の天井を見上げ、千景は眉を寄せる。 「これが女の感覚ってヤツか。重いな……。でも、物足りないな……」 身体を起こしてから、紫色の髪の毛を手で払う。 千景は両手を持ち上げた。霊力と妖精炎は全く質の違う力。だが、それを操るのは可能だろう。この身体はヅィのものだが、千景の意志でも自在に動かせる。さらに、妖精炎自体非常に柔軟な力だ。 意識を集中させ、千景は妖精炎を引き出す。そして、印を結んだ。 「主、何する気じゃ?」 「分身の術」 千景は両手をかざした。 放たれた妖精炎が集まり、ヅィの姿を作り上げる。長い紫色の髪に、前の開いた紫色の長衣。今の姿をそのまま写し取った分身だった。床に直立したまま、光の無い紫色の瞳で虚空を見つめている。 「これは……!」 妖精炎を霊力のように使い、分身を作り出した。 千景は右手を持ち上げ、指を動かした。 「さすがに操り人形が限度だ。でも、これで色々できるぞ?」 分身のヅィが一歩前に出た。歩き方は少しぎこちない。両腕を広げてヅィに抱きつく。大きな胸が胸元に押し付けられる。分身が口を開き、尖った耳を咥えた。 「ちょっと待――あっ」 舌を動かし嬲るように耳を舐める分身。 耳から首筋に、感電するような痺れが走った。喉の奥が渇き、歯が鳴っている。耳に直接届く水音。手足の筋肉が不自然に硬くなっていた。 「うぅ、う……」 右手をショーツに差し入れ、千景は秘部への愛撫を再び始める。指先が細い縦筋を撫でるたび、奥から生暖かい粘液が浸み出してくる。左手をブラジャーの下に差し入れ、大きな乳房を揉みながら、胸の突起を少し強めに摘み上げる。 「ふっ、んっ……」 喉から、切なげな声が漏れた。 目元から涙が一筋こぼれる。 「………」 分身が尖った耳を咥えながら、右手で身体を優しく撫でる。胸からお腹、腰や足まで丁寧に手の平を這わせていた。 「これは、っ……予想以上、じゃの……。ふあっ、頭が、溶けそうじゃ……」 溢れる性感に声を震わせ、ヅィは力無く笑う。 千景は人差し指を膣口に触れさせた。 「この中は……っ。どうなって、るんだ?」 「んっ、構わぬ。好きにしろ」 ヅィの答えに、千景は頷いた。 「じゃ、遠慮無く」 人差し指を膣へと差し込む。 濡れた肉を掻き分け、指が身体の奥へと潜り込んでいく。未知の感覚に息が止まる。ヅィにこのような自慰の経験は無いようだ。ここに指を入れたことも無いだろう。痛みは無かった。思ったよりも抵抗はない。 「うっ……んんっ……」 片目を閉じ、千景は呻く。 体内に入ってくる異物の感触。男では味わうことない感覚だった。 男という性別が無いフィフニル族は、何故か女としての身体を持っている。 膣に入れた指を静かに上下に動かし始める。指に絡み付く粘液と柔らかな肉。身体の奥からお腹へと響く淡い圧迫感。それは胸や淫核を弄った時とは違う、深い快感だった。 「うぅ、これは、奇妙な感覚じゃ……」 呼吸を荒げながら、ヅィが口端を上げる。 分身が耳を攻め、手で全身を愛撫する。ヅィ自身は左手で胸を弄り、膣に右手の指を挿入。さきほどよりも強烈な快感が、意識を焦がしていた。 「もうひとつ、やってみたい事があってな」 千景は左手を分身に触れさせる。 それから、体内の妖精炎を動かした。 「それは!」 背中から六枚の羽が広がる。小さな稲妻を押し固めたような紫色の羽。それは顕現した妖精炎の塊らしい。羽の出し方は、シゥで実践済みだった。 そこに分身が手を伸ばす。 「ひっ!」 羽を触られた瞬間、全身が固まった。筋肉が硬直し、か細い息がこぼれる。 羽の無い人間では表現できない感覚だった。羽から付け根へと駆け抜ける、電流のような衝撃。さらに背中から手足へと広がっていく。 「ふあああっ! 羽はッ! あああっ」 ヅィが叫ぶ。 両目から溢れる涙。 分身は無遠慮に六枚の羽を弄っている。 まともに力が入らない。それでも無理矢理身体を動かす。千景はヅィの奥に差し込んだ指を曲げた。膣の上側を指先で引っ掻く。 身体の奥から指先まで広がる快感の波紋。 「んんッ、く……ぅぅぅぅ……!」 喉から漏れる呻き声。分身が霧散するように消えた。 耳から胸から羽から秘部から。あふれ出す強烈な快感に全身が跳ねる。意識を失うかと思うほどの絶頂感だ。視界が白く染まり、何も考えられなくなる。 そして糸が切れたように、ベッドにうつ伏せに倒れた。 「凄いな……女って」 「やり過ぎじゃ、バカが……」 ヅィが呟いた。 |
12/3/22 |