Index Top タドリツキ ~提督はスライムにつき~

第3話 !青き水面に沈む明石


「ひゃああ!」
 明石の悲鳴が執務室に響く。
 全身の結合を外し、タドリは青い液体となって明石に襲いかかった。床に尻餅をついた姿勢では避けることもできない。
「な、何ですか、これ! て、提督……!」
 ずれた眼鏡を直し、明石が叫ぶ。
 ぬるり。
 タドリは何も答えず、ゆっくりと明石へと絡みつく。手や足を包み込み、制服の上から身体も包み込んでいった。まるで捕食するように。
「うわ、待って! 何してるんですかっ!」
 明石は慌てて腕を外に引っ張り出し、タドリを搔き取ろうするが、手は青い液体を揺らすだけに留まった。粘りけが強そうに見えるが、流動性はかなり高いのである。
「ひゃっ!」
 小さな悲鳴。
 明石は慌てて腕で身体を押さえる。
「あっ、勝手にどこに入り込んでるんですか、セクハラですよ!」
 だが、タドリは意に介さず裾や袖口から服の中へと侵入していった。女性特有の柔らかな曲線を描く両腕。細い肩、白い肌は微かに機械油の匂いがする。液体の身体は、多少の隙間さえあれば、どこへとも入れるのだ。
「んっ、提督……」
 肩から胸元へと、お腹から鳩尾へと身体を伸ばし、さらに胸全体を包み込む。ピンク色のブラジャーに包まれた、大きな乳房。タドリの動きを止めようと、服の上から明石が押さえ込んでくるが、妨害にはなっていない。
 そのままブラジャーと胸の隙間に身体を流し込む。体の肌で直接感じる、丸い胸の膨らみ。あっという間に青色の液体が胸全体を覆った。
「うっわ。そういう事やるんですね、このエロ提督ッ! この、このっ!」
 水中をもがくように、明石は胸を押さえた。しかし、タドリの身体は容易く潰れ、流動する。多少押さえた程度では動きを止めることはできない。
 溶けた身体の表面で感じる明石の形。きめ細やかな肌と筋肉の弾力。女の子特有の柔らかい身体だった。胸は大きく張りもあり、タドリが身体を変形させるとそれにあわせていやらしく形を変える。
 むにむに、と。
「んっ……何堂々と揉んでるんですか――! あぅ……」
 胸を押さえたまま、明石が息を漏らす。頬を赤く染めながら。まるで誰かの手に揉まれているように、制服の生地が動いていた。
 じっくりと明石の胸を揉みながら、タドリはさらに身体を動かす。腕やお腹や足、全身を揉みほぐすように。五指の隙間や、足の指先まで。
「ぅぅ……」
 羞恥に震えながら、愛撫を甘受する明石。
 床に座った状態で顔以外の全身の半分以上を青い液体に覆われている。蠢く液体が指先から手足お腹、背中、胸の隙間まで埋め尽くしていた。逃げることもできず、明石はタドリのなすがままになっている。
「ひっ!」
 指の間を撫でられ、両手が震えた。
 足の指や足の裏を撫でられ、引きつるように足が動く。
 お腹や背中を撫でられ、明石は悶えるように身体を捻った。
 きゅっ。
「あっ……」
 胸の先端を摘ままれ、明石が小さく固まる。
 ブラジャーの中で液体の身体を指のように動かし、タドリは明石の乳首を刺激する。転がすように捏ねるように。液体の身体は指以上に自由な動きを取れるのだ。力を入れるたびに、明石が身を震わせていた。
「ううぅ……あっ……。提督――! うっ、私そこ弱いんですって……んっ。んんっ、あっ、ああああ……。ひゃぅ!? えっ何っ! そっちはちょっと待って下さい!」
 突如背筋を懸け受けた衝撃に、明石が慌てて身体を見下ろす。
 ピンク色のショーツの中へとタドリは潜り込んでいた。滑らかな女性の形と感触を味わいながら、下腹部全体を優しくなぞっていく。
「えっ、何してるん――っ、んんっ。ですか……! そこは……!」
 明石が足を閉じ、両手でスカートを押さえる。
 しかし液体の身体を阻むことはできない。人の手を差し込めないような狭い空間でも自在に身体を動かす事ができるのだ。まるで人の手のように。
 身体そのものを差し込み、タドリは淫核を摘まんだ。
「ひゃぁんっ!」
 明石が小さな悲鳴を上げる。
「あっ、ひっ、ああっ。提督、っ……待っ――!」
 くにくにくに。
 転がすように淫核を弄りながら、膣口を優しく刺激すタドリ。明石の身体が細かく震えていた。軽く達しているのだろう。
 そのまま熱く蠢く肉癖の奥へと、タドリは己の身体を流し込んだ。狭い肉の隙間だが、侵入することに苦労は無い。淫猥な匂いと味に満ちた肉の小部屋。
「っ! ああああっ! 提督っ、そこは、駄目ですって! あっ、んあああっ! 提督ッ! あっ、駄目……出て下さ、いっ……うぅ、んんっ」
 背中を丸めて、明石は掠れた声を漏らす。
 膣から溢れてくる淫らな味の液体。狭く暗く暖かい、肉の空間。
 タドリは渦巻くように身体を動かし、膣内を攻め始めた。大きさや柔らかさを変え敏感な部分を刺激し、外では丁寧に淫核をこね回す。人間には不可能な攻め方だ。胸への愛撫も続けたまま、明石をさらに攻めて立てる。
「ひゃっ! はっ! 何してる……んですかっ! ああっ! 提督っ! あぁ……っ! 胸が熱い……! ああっ! んっ、んあああっンンッ! 膣中は駄目ですってっ! 腰が、抜けちゃって……。はひっ、ひあっ! 待っ――んあああああっ」
 快楽の悲鳴とともに、丸めていた身体を勢いよく反らし、明石は絶頂を迎えた。身体を何度か痙攣させ、脳を灼くような快感を受け止める。口元からこぼれる涎と、目元から流れ落ちる涙。相当に気持ちよかったのだろう。
 タドリは蠢きながら、明石のさらに奥へと進み始めた。
「ひっ! 何す、る気ですか……んっ、提督っ――あっ、入ってくる……!? んんっ、提督が私の中に、ああっ、これ――どうなってるの……っ! 染み込んでる――? あっ、凄い……あっ、どうしてっ、気持ちいいの……!? んっ、いくっ! んああぁっ!」
 明石が身体を丸め、大きく肩を跳ねさせた。再び達したようである。
 しかし、タドリは動きを止めない。膣内の粘膜から己の身体を明石の体組織へと染み込ませていく。スポンジに水が染み込むように。
 膣だけではない。
 ブラジャーの中でつんと自己主張をいている乳首から、タドリは己の身体を明石の体内へと送り込んだ。土に染み込むように、半粘膜組織から内部へと浸透していく。
「ひあっ! 提督っ、コレ……! ど、どうなってるですかっ! 胸が溶けてるみたいですよ……! あっ、んんっ! またっ! イっちゃ……! んんんッ、んんぁッ!」
 両手で胸を押さえて床に倒れる明石。何度も身を震わせながら、小さな絶頂を繰り返していた。それでも身体を捻り、押し寄せる快感に耐えている。
 タドリは明石のへそに身体を差し込んだ。
「ひっ!」
 一瞬だけ明石の動きが止まる。
「んああああっ! そこ駄目! 待って待って、待って下さい。ストップです!」
 両手でお腹を押さえ、明石が慌て出した。へそが性感帯らしい。
 だが、タドリは止まらずへそへと入り込んでいった。むしろぐりぐりと渦巻くように身を捩りへそを刺激しながら、その奥へと身体を溶け込ませていく。
 床に倒れ、両手でお腹を押さえながら、明石は身を捩った。
「ふああっ! ストップ! そこは駄目です! んああっ、弱いんです! 本当に……ああっ。はっ、はひっ ホント、やめてぇぇ……。提とく……あっ、あああっ! おかしくなっちゃう! んんんんっ! んっ! あっ、やああぁぁっ!?」
 背中を弓なりに反らし、ひときわ大きな絶頂を迎える。
 タドリは明石の口に身体を差し込んだ。
「てい、とっ……むぐっ!」
 眼を剥き、身を強張らせる明石。
 タドリは咥内からその奥へと自身を流し込んでいく。口や喉からさらに奥へと侵入しつつ、周囲の粘膜組織から明石内部へと侵入していった。
「うっ! う――ぅぅ……!」
 目を白黒させながら、明石が悶える。苦しみか快楽か。全身のあらゆる場所から、快感を伴ってタドリが侵入してくるのだ。
「ンッ、ぁぅ、ん! ンンんぁっッッ!」
 眼から涙を流しながら、明石は何度も全身を痙攣させる。
「ぁ、っ……」
 そして、糸が切れたかのように脱力し、仰向けに倒れた。傍から見ると意識を失ってしまったように見えるだろう。小さく痙攣しているので、死んではいない。
 音もなく。
 床に残っていたタドリが、明石に完全に入り込んだ。
「………」
 ゆっくりと身体を動かし、タドリは上体を起こす。大きく息を吸い込み吐き出してから、右手を持ち上げた。手の平を一度握って開く。
「よし。成功」
 にやりとタドリは笑った。明石の身体で。
(なっ、何ですかコレ!)
 頭の中に声が響く。明石の声だった。肉声では無く、思考の叫びである。
 タドリは床から立ち上がり、椅子に脱ぎ捨ててある制服を手早く畳んで机に乗せた。ピンク色の髪の毛を掻き上げ、空いた椅子に腰を下ろす。身体のサイズが違うので、椅子は普段より大きく感じた。
「神経系を掌握して、君の身体を乗っ取ってみた。どうだ? 凄かろう」
 と親指を立てて見せる。
(何ですかそれ! 何でそんな事できるんですか!)
「オレも人間辞めてから結構経つけど、ちゃんと研究してるって事。この身体、色々出来るみたいだからな。先生曰く、艦娘より向こう側に行っちゃったとか何とか」
 ピンク色の髪の総を弄りながら、タドリは視線を下げた。膨らんだ白い制服と、紺色スカート、そこから床に伸びるブーツに包まれた足。明石の身体だった。今は完全にタドリが掌握している。
「思ったより上手く行った。何事もやってみるものだ」
 タドリは眼鏡を掴み、外した。
 牛乳瓶の底のような丸いぐるぐる眼鏡。眼鏡を外しても視界は正常なままである。見るからに度の強い眼鏡だが、実は伊達眼鏡だった。何故このような眼鏡を掛けているかは、明石のみぞ知る。
(あああっ、かっ、返して! 返して下さい、提督! わたしの眼鏡、返してえぇぇ! わたし、眼鏡が無いと……!)
 泣きそうな声で、明石が必死に叫ぶ。
 タドリは眼鏡を机に置き、背筋を伸ばした。
「それでも自分の身体じゃないから、違和感はあるな。それは今後の課題か」
 具合を見るように腕を動かしてから、タドリは両手を胸の下に差し入れた。制服を押し上げる曲線。それをゆっくりと撫でながら、椅子の背に体重を預ける。
(あっ、提督……そんなところ触らないで下さいよぉ……)
 慌てたように叫ぶ明石。身体を奪い返そうと身を捩ろうとする気配があった。だが、身体を動かすことはできない。
「やっぱり自分で感じてみるって大事だと思うよ、オレは」
(わたしの身体にエッチな事したいだけじゃないですかぁ……)
「まあな」
 タドリは頷いた。

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19/6/23