Index Top 第3話 主従の約束 |
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第4章 寝る前の暇潰し |
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「ッ、ぅ……」 一ノ葉は両手で握り締めた枕に顔を押しつけていた。膝を突いて腰を突き出すような格好、乱れた狐色の長い髪。動物の雌が雄を誘うような体勢である。 初馬はベッドに座ったまま、両手で優しく尻尾を弄っていた。 揉みほぐすように尻尾を動かしたり、根本から先端へと何度も撫でたり、逆に先端から毛の向きに逆らって撫でてみたり、根本部分を指で揉んでみたり、先端を口に咥えて甘噛みしてみたり。 その度に一ノ葉は声を噛み殺している。 初馬は左手で尻尾の中程を押さたまま、右手でそっとお尻を撫でた。 「ぅぅ……」 生地の手触り。そして、小降りでよく引き締まった丸い肉。逃げるように動いているが、尻尾を捕まれているため、腰を左右に動かすだけで終っていた。 お尻を撫でながら、初馬は紺色のワンピースを見つめる。紺色の生地に隠れて中はどうなっているのか分からないが、容易に想像は付く。 「頑張るなぁ。そういう根性って好きだ」 感心しながら初馬は手を引っ込め、そのまま尻尾の根本を指で摘んだ。紺色の生地を突き抜けた、狐色の尻尾。指の腹にしっかりした尾骨と肉の感触が伝わってくる。 これから来る衝撃に、一ノ葉が身体を硬くしていた。 初馬はくにくにと指を動かし尻尾の根本を攻める。 「うぅぅ……ぅ……」 一ノ葉の喉から漏れる苦しげな声。激しく動こうとする尻尾を、左手が押さえていた。強張らせた身体が、小さく痙攣を続けている。根本は最も敏感な部分らしい。 「そろそろ尻尾攻めは終わりだ」 初馬は尻尾から両手を放した。 それで、安心したように一ノ葉の身体から力が抜ける。もっとも、これで攻めを止めるわけではない。尻尾を弄るのを一旦止めただけ。 初馬は一ノ葉の肩を掴んで身体をひっくり返してた。抱える力もなく腕から落ちる枕。ベッドの上でお互いに向かい合う。白いシーツの上に広がった狐色の髪。紺色のワンピースと白いエプロンが、膝の辺りまで捲れている。 「貴様あ゙ぁぁ……。次は、絶対に、殺しへやる……」 泣いているのか笑っているのか怒っているのか分からない、凄い表情。緩んだ口元と赤く染まった頬、両目から溢れる涙。喉が痺れていて呂律も回っていない。 「次はどこを弄って欲しい?」 「くたばれ、変態ィ……。地獄に堕ひろおぉ」 涙を流しながら初馬の頬を引っ張る一ノ葉。普段ならかなり痛いのだが、今は腕に力も入らず痛みもない。むしろ、この程度の刺激は気持ちが良い。 初馬は右手を伸ばし、無造作に狐耳を摘む。声もなく、一ノ葉の動きが止まった。 頬を摘んでいた指を放して、人差し指の先を軽く口に含んでやる。指先を絡め取るように舐めながら、初馬は微笑んだ。 「まだ反抗的だな。もう少し解してみよう」 指を動かして狐耳を揉みほぐしてみる。 「っうあぁ……」 だらしなく口を開けて、喉を震わせる一ノ葉。背中を反らし、薄い唇を小刻みに動かしていた。開いた目から涙が一筋こぼれ落ちる。なすがままで、抵抗すらできない。 初馬は狐耳から指を放してから、指から口を離した。 起き上がることも出来ずに一ノ葉は尋ねてきた。 「次は何を……するつもりだ……?」 「終わりにして欲しいなら、そう言え。俺はお前をイジメたりは、まあ……意味もなくしないから。嫌なら、やめるって。これは本当だ」 首元の赤いチョーカーを撫でながら、初馬はそう告げた。無理矢理というのは好きではない。一ノ葉が嫌だというのならば、素直に止めるつもりである。 「貴様は、ズルい……。卑怯だ……」 しかし一ノ葉はそう呟くだけだった。 初馬は太股の上辺りに腰を下ろしす。念のためであるが、逃げられないように。エプロンの上から胸に両手を乗せた。服の上からでも分かる、柔らかな膨らみ。しかし、揉むようなことはせず、形のよい乳房を手の平で撫でていく。 「ぅん……」 一ノ葉は肩をすくめて、顔を背けた。自分の姿を認めたくないのか、きつく目を閉じている。しかし、胸をさする手の動きは変わらない。 初馬はエプロンの下に手を差し入れた。布が一枚減るだけで明らかに変わる手触り。紺色の生地の上から、円を描くように胸を撫でる。 「んん……、くぅ……」 一ノ葉の声が少し変わった。直接に近い方が気持ちいいのだろう。しかし、声を噛み殺せるほどにしか感じていない。敢えて直接触らないのには理由がある。 しばらく胸を撫でてから、初馬は手を放した。 一ノ葉が気を抜く前に、両手を頭に伸ばす。 そして、狐耳をつまんだ。 「!」 鋭い息。一ノ葉は目を見開き、初馬を見つめる。怯えた仔犬のように震える瞳。 やはりキツネの部分の反応は違った。ただでさえ人間の身体は敏感、そこに残ったキツネとして敏感な部位。少し弄るだけで立派な性感帯と化す。 初馬はにっこりと微笑み、指を動かした。 「待てッ、待て! っぁぁ……耳は、やめてっっ、くれ……おかしく、なる……! あっ、はっ、本当にっ、ダメだって……。あくっ、やめて、やめろ……!」 両手で初馬の腕を掴みながら、一ノ葉は甘い悲鳴を上げていた。指に合わせて形を変える狐耳。その動き合わせて悶える身体。ぱたぱたと尻尾が跳ねている。 初馬は笑顔で言い切った。 「嫌だね」 「あぅ、さっき、やめう……って、言ったじゃ、ぁぁっ、ないかぁぁ……」 両目から涙を流し、一ノ葉が非難の言葉を吐き出す。嫌がるなら素直に止める、確かについさっき口にした言葉。それを忘れるほど記憶力は弱くない。 初馬は悪びれることもなく言い放った。 「無意味にお前をイジメることはしない。でも、意味があるならお前をイジメるのはかなり楽しいし、止める気もない。むしろ、進んでいぢめる」 「ああぁ。嘘つき、卑怯ぅ者……外道ぉ。下衆野ろゥ……」 初馬の腕に爪を突き立て、罵ってくる。威嚇するように犬歯を見せるものの、相変わらず迫力はない。元々人間の姿で噛み付いてきたことはないのだ。狐の時なら何度か噛まれているいるが。 「はっはっは、その言葉も心地よい」 狐耳を弄りながら、初馬は意地悪く口端を上げた。 「一度、死ねえぇ、ぅぅんん……ぁぁ……」 「殺せるものなら、殺してみろ。さて、次は――」 太股から腰を上げて左横に移り、右手を狐耳から放す。左手はそのまま。右手を膝へと伸ばし、裾の中へと差し入れた。張りのある太股を優しく撫で上げる。 「うぅぅ……」 一ノ葉の声が再び変わった。 何とか起き上がろうとしているのは分かる。だが、狐耳を弄られ太股を撫でられ、自分の意思通りに身体を動かすこともできない。 「ふぁ、やめろぉ……本当に、ぁっ、はぁっ、おかしく、なうっ……からッ……」 太股を閉じて何とか手を止めようとしている一ノ葉。呼吸も乱れてまともな言葉を紡ぐとこもできない。肺も思うように動かず、半ば酸欠状態に陥っていた。 張りのある太股を楽しみながら、初馬は笑顔で告げる。 「止めろ、と言われて止めるバカがいるかって」 「あぁぁ、ぅぅ、殺しテぇぇ、やる、ぁぁぁ……」 ワンピースの裾が動いていているだけで、中でどのように手が動いているのかは見えない。触っている自分も触られている一ノ葉も、手の動きは理解している。だが、見えないことが妙な卑猥さを醸し出していた。 手の平を徐々に上へと移動させていく。指先に微かな水気を感じていた。 「俺のものが欲しかったら、素直に『お願いします、ご主人様』って言えよ?」 「ッ! フザけるナ……!」 額に青筋を浮かべて、一ノ葉が唸る。墜ちかけていた瞳に映る怒りの炎。鈍い音を立てて奥歯が食い縛られた。ここまで言われれば、さすがに反応するだろう。 しかし。 初馬は秘部へと人差し指を触れさせる。 「ひぅ!」 一ノ葉が仰け反った。引き締めていた口元が緩み、瞳から再び光が消えていく。狐耳を弄る指の動きは止めていない。残りの反抗心を総動員して踏みとどまってみたものの、それほど持続はしないようだった。 濡れたショーツの上から割れ目の縁を撫でる。指先に感じる弾力。 「あ、あぁ、うああぁ……」 顎を震わせながら、一ノ葉が快楽の声を上げた。口元から涎が流れている。意識を保つのが精一杯なのだろう。快感に耐えるように、両腕で自分を抱き締めていた。 「一言お願いすれば楽になるぞー?」 「言わんン……わ、ボケ」 荒い呼吸の間に、言葉を吐き出す。 初馬は満足げに頷いてから両手を放した。狐耳から手を放し、スカートの中から手を引き抜く。もっとも、一ノ葉の態度に諦めたわけではない。 肩を掴んで、一ノ葉をひっくり返す。仰向けからうつ伏せへと。 「……な、にを?」 困惑する一ノ葉を無視して、初馬は左手で尻尾の先端を掴んだ。 同時、両足の間へと右手を差し入れる。さらに、人差し指をショーツへと忍ばせ、秘裂を直接撫で始める。 それだけではない。左狐耳の先端を口に咥えて、前歯で甘噛み。 達するほど強くではなく、あくまでも丁寧に優しく。 「! ッッ、っああぁぁ! ソレ……、そえは駄目、だめ……! あ、あああっ、待て、待へ。待っ、て、本当に壊れうっ! やめ、ろ、やめへ……! おかひくなる!」 明らかに今までとは違う反応を見せる。 両手でシーツを掴みながら、一ノ葉は悲鳴じみた声を上げていた。目を見開き、涙と涎を流しながら、必死の叫び。敏感な場所を三箇所同時に攻めるのは効果が違う。 初馬は狐耳を甘噛みしながら、器用に口を動かした。 「言わないとずっと続けるぞ?」 「分かっ、た……から。お願い、します……! ご主人サマ、もう許して……!」 一ノ葉の懇願に、素直に両手と口を離す。 「よろしい」 そう告げてから濡れた指を舐めた。微かに粘りを持った液体。味はない。 攻めから解放され、糸が切れたように脱力している一ノ葉。ベッドに顔を押しつけたまま、ぴくぴくと痙攣している。その姿は打ち上げられた魚を連想させた。抵抗すらできないという意味では同じだろう。 「俺の言いつけ通りお願いできたので、ご褒美を上げよう」 偉そうに言いながら、一ノ葉の肩を掴み、再び仰向けにひっくり返す。顔を真っ赤に染めたまま、きつく目を瞑って横を向いている。 初馬はズボンの中から自分のものを取り出した。さきほどからの一ノ葉の痴態に、既に準備は万端である。一度深呼吸をして、意識を落ち着かせた。 「………」 薄めを開けて見つめてくる一ノ葉。屈辱と期待に染まった瞳。 初馬は一ノ葉の足下に移動すると、紺色のワンピースをまくり上げた。白いショーツに包まれた秘部。さきほど触っていた通り、ぐちゃぐちゃに濡れている。 「さ、行くぞ」 そう告げて、初馬は一ノ葉の背中に右腕を回した。身体を持ち上げながら、左手でショーツを横にずらす。誘うように痙攣しながら、透明な液体を垂らす桜色の割れ目。 初馬は膣口に先端を押し当てながら、一ノ葉を抱え上げた。 「ぁあっ!」 一気に膣が貫かれる。生暖かい濡れた肉の感触。支えていた裾が落ちた。 それで軽く達してしまったらしい。一ノ葉は初馬の肩に抱きついたまま、ぴくぴくと身体を跳ねさせている。膣内も軽く痙攣していた。 初馬は一ノ葉の頭を撫でながら謝る。 「すまん、一ノ葉……」 「何……だ?」 辛うじて聞き取れる声。初馬は続けて頼んだ。 「傷が痛むから自分で動いてくれ」 さきほどから動くたびに、傷が染みるように痛んでいる。今までは激しく動いていなかったので平気だったか、これからはそうもいなかい。治療中に情事というのも無理があったのだろうが、今更止められない。 「自分、で……って?」 一ノ葉の呟きは無視して、初馬は軽く腰を持ち上げた。両足を前に投げし、その場に腰を落とす。小さな衝撃が、子宮口まで突き抜けた。 「っ」 歯を噛み締める一ノ葉。 締まった膣肉の感触と対照的な傷の痛み。ふたつの感覚に息を呑みつつ、初馬は後ろへと身体を倒した。上下逆にベッドに寝転がったような体勢。足下に丸めてあった布団に、肩を預ける。一般的に騎乗位と呼ばれる体勢。 「あ、あ……あ……」 一ノ葉は虚ろな瞳で繋がった部分を見つめていた。しかし、紺色の裾に包まれ、中がどうなっているかは分からない。二人が感じるのは、繋がった感触のみ。 「好きなだけ動いていいぞ。俺は止めないから」 初馬は動きを示すように腰を突き上げる。 「はぅ!」 一ノ葉の顎が跳ねた。狐耳と尻尾をぴんと伸ばしてから、初馬の胸に倒れ込む。どうやら身体を起こしていることもできないようだった。 「……無理だ。動けぬ」 「なら、仕方ない」 初馬は一ノ葉の背中に腕を回し、両手を合わせた。簡単な印を結ぶ。このようなことに使う術ではないが、臨機応変と言うことで納得した。 「式操りの術」 「て、貴様何をしている!」 一ノ葉の慌てた声。式神を操る術。離れていては中継印が必要だが、身体が触れ合ったいるならそれも必要ない。今の乱れた集中力で感覚の共有はできないので、動きの掌握だけを行っている。霊力の消耗も避けたいし、この状態で感覚共有は正直危険だ。 狐色の髪を撫でながら、初馬は告げる。 「自分で動けないなら仕方ない。代りに俺が動かすから、好きなだけイってくれ」 「待て、……ッ! ああっ」 言い返す前に、一ノ葉の腰が動き出していた。太股と膝を伸ばしながら、初馬のものを扱くように腰が上下運動を始める。本人の意思とは無関係に。 「待て待て、貴様っ。ぅふああっ……勝手、にぃぃ、ッッ。あぁ……ぅぅ、ヒトの身体、を動かすな……! だめダメ、駄目だッ、あ、あああぁ!」 初馬の胸に抱きつきながら、悲鳴じみた声を上げる。 ワンピースの中から聞こえる水音。出来上がった身体への挿入で、感じる余裕すらなく達してしまったらしい。しかし、初馬は構わず一ノ葉の身体を動かし続ける。 「ああッ、もう……止めろッ。ッッッ。だ、から、止めろと……っああぁ、言ってる、のに……! 死ぬ、死んで、しまう、とめろ! 止め、許して……!」 勝手に動く身体。普通なら絶頂を味わって脱力しているだろう。しかし、式操りの術によって本人の意思とは関係なく動く身体。イきっぱなしの状況。 初馬は両手を伸ばして、尻尾を無造作に掴んだ。 「いぃッ! 尻尾、はッ……!」 悲鳴は無視しして、両手で尻尾を攻め始める。操り逃げられないよう、尻尾の動きも掌握していた。ふさふさの尻尾を両手で嬲るように揉みほぐす。 「はっ、ふぁあ。もう許して……お願いシマす、あぁぁ、ッッッ、ご主人様ァぁ! もう、止めテ下さいィ、ッッ! 許し、て下さいィィッ……!」 「よろしい」 短く呟き、初馬は動きの掌握を解除した。 初馬の胸に突っ伏したまま、全身を引きつらせている一ノ葉。不規則な呼吸をするだけで、減らず口も言えない。意識は辛うじて保っているが、しばらくは動けないだろう。 初馬も既に一ノ葉の中に射精していた。我慢する方が無理がある。 だが、気丈にも言ってみる。 「もう一回戦行く?」 「絶対にイヤ……だ」 一ノ葉が擦れ声で拒否した。 |