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第1話 なでなで金剛ちゃん |
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水平線まで続く青い空。そして青い海。 白い制服を着崩した男が一人、防波堤の影に座って、海を眺めていた。東海地方の大型基地の外れである。近くには釣り竿と、包丁やまな板、焚き火に掛けられた鍋、漫画本数冊が置いてあった。 「平和だ……」 空き箱に座って海を眺めながら、提督はしみじみと呟いた。鼻を撫でる潮の香り。眺めているだけで意識が吸い込まれるような錯覚。海は何もかもを飲み込んでいく。 ぱたぱたと、足音が近づいてきた。 そちらに向き直ると、白い着物と黒いスカートの女が笑顔で走ってくる。頭の電探カチューシャが戦艦金剛。この基地の主戦力の一人だった。 「ヘーイ、提督ゥ! たっだいま帰ったデース!」 元気な声とともに跳躍し、両手を広げて抱きついてくる。 「うおっと」 提督は慌てて身体を起こし、飛んで来た金剛を受け止めた。毎度の事なので慣れたものである。両腕で金剛を抱きしめ、倒れないようにその場でくるりと一回転。突進の勢いを殺し、木箱へと腰を落とした。金剛の髪の毛やスカートがふわりと跳ねる。 それから左腕で金剛を抱きしめたまま、右手を頭に添えて、 「おー、よしよしよし」 なでなでなでなでなでなでなでなで。 「ぁぁ……提督ぅぅ――ぁぁ……!」 提督に思い切り撫でられ、恍惚とした表情を見せる金剛。気の抜けた声が喉から漏れていた。だらしなく脱力し、幸せそうに顔の筋肉を緩めている。 さらに背中やお腹に手を移動させ、 わしわしわしわしわし。 「ォオォ……あぁぁぁ……」 さわさわさわさわさわさわ。 「あっ……はぁ……ははぁぁ……」 あちこちを撫でられ、金剛はひたすらに甘い声を漏らしていた。 「おかえり、金剛」 提督は改めて金剛に声を掛けた。完全に脱力し切った金剛を膝に乗せ、倒れないように肩を抱きかかえる。金剛も心地よさげに提督に身体を預けていた。 片目を瞑り金剛は元気よく宣言する。 「今回も私たちの大勝利デース!」 「報告は改めて聞こう」 苦笑とともに応える。出撃していた金剛が戻ったという事は、やるべき仕事が増えるという事でもあった。 「ところで提督、こんなところで何してるんデス?」 ふと思い出したように聞いてくる。 提督は真顔で言い切った。 「さぼり」 「さぼりは良くないヨー。お仕事はちゃんとやらないといけないネ」 呆れたように金剛が目蓋を下げる。 「先日の大型作戦の報告書もまとめきったし、しばらく先までの艦隊育成計画も提出したし、予算資材関係も片付けたし、防衛省のお偉いさんとの会議もしばらくないし。ちょっとくらい休んでも文句は言われんだろ」 きらりと歯を輝かせ、提督は人差し指を左右に振った。執務室に缶詰にされて、書類とパソコンと報告書との睨めっこの日々。今日の昼にそれらが全て片付いたのだ。重要度の低い仕事はまだ残っているが、息抜きは必要である。 何も言わず金剛は苦笑いを見せた。 ふと、近くの焚き火に置かれている鍋に目を向ける。 「で、これは何なのデース? さっきから美味しそうな香りがしてマス」 「提督汁ッ!」 「ウーン……。なんか……そこはかとなくエロティックネー」 冷や汗を流す金剛に、提督はにやりと笑ってみせた。 「間宮さんの所から貰った野菜と、さっき釣った魚を捌いて一緒に放り込んで、塩味噌醤油酒などの調味料を適当にぶち込んで、灰汁を取り取り煮込んだ海の男の手料理だ! 見た目は少々悪いが、味は保証するぞ。金剛も食べるか? 刻み生姜がアクセントだ」 「YES! お言葉に甘えて頂きマース」 ぴょんと提督の膝から飛び降りる金剛。 提督は木箱から立ち上がり、鍋の横に移動した。蓋を開けると鼻をくすぐる味噌と磯の香り。お玉で中身をかき混ぜながら煮え具合を計る。 「よしよし。もうしばらくしたら出来上がるからなー」 「ところで提督ゥ」 金剛が横に座っていた。頬を赤く染めながら、提督に身体を密着させる。周囲を気にするように視線を巡らせてから、声を抑えて言ってきた。 「今夜、ちょーっとお時間欲しいネー。久しぶりに提督の顔見たら、なんだか身体が疼いちゃったのデース……。いいでショ?」 「仕方ないやつだな」 提督は金剛の頭を撫でて。 ピリリリリリリリリリリリリ! 突然、笛の音が響いた。 「!?」 「!」 二人は同時に視線を向ける。 防波堤の上に、少女が一人立っていた。サイドに結った灰色の髪に白いシャツと灰色のスカート。淡々とした表情で腕組みをして、提督を見下ろしている。 「霞、ちゃん……?」 呆然とその名を呟く提督。 金剛は鍋の蓋を閉じ、そのまま鍋を持って提督から距離を取った。音もなく。 霞が提督に人差し指を向ける。 「確保」 「突撃いいいいいい!」 咆吼とともに、防波堤の影から四つの人影が飛び出してきた。 大淀、足柄、清霜、朝霜。チーム礼号である! 「うおおおおおおあああああ! 何だ、前ら!? 待て、待てっ、暴力反対! 話せばわかる、お互いに冷静に――ごはぁっ! って痛ァ!? 痛い、痛いよ、清霜!? 普通に痛いってか何、何なのこれ!? 朝霜ってうにゃああおおお!? ちょ助けて金剛!? へるぷっ、ヘルプミー! うおおお! おい、こら! 大淀どこ触って!? 足柄もっ! あひぃっ、やめてやめて……あああぁぁ!」 のしのし、と。 簀巻きになった提督を抱え、礼号組が基地に向かって歩いていいく。 「お騒がせしました」 「どーもー……」 礼儀正しく一礼する霞に、金剛もとりあえず頭を下げた。 他の礼号組を追いかけるように、霞は身体の向きを入れ替え早足で歩き出す。逃げ出した提督を捕まえに来たのだろう。この後提督がどうなるかは推して知るべし。 「お仕事頑張ってネー……」 鍋を抱えたまま、金剛は呆然とそれを見送った。 「あら、美味しい。少し味が濃いですけど、疲れた身体にはこれくらいが丁度いいです。あと、ご飯が欲しいかもしれません」 お椀の中身を一口すすり、榛名が眉を持ち上げた。 テーブルに置かれた鍋と、鍋を囲むように椅子に座った金剛型四姉妹。 出汁の利いた野菜や魚を食べながら、比叡が金剛を見る。 「お姉様、どうしたんですか? このお鍋は」 「提督からのご馳走デース!」 箸を持った手を上げ、金剛が元気に答える。 ふぅと満足げに霧島が息を吐き出した。 「これは、また食べたくなる味ですね」 「機会があったら、みんなでお願いして提督に作って貰うネー」 妹たちの反応に満足したように、金剛は楽しそうに笑った。 夜のとばりも下りて、随分と時間たった。 「ああ、終わった……」 机の上に置かれたパソコンを閉じ、提督は大きく息を吐き出した。ひっそり溜まっていた細かな案件を片付け終わったところである。 ガチャリ。 「提督ー」 正面のドアが開き、金剛が部屋に入ってきた。 歩いてくる金剛はほんのりと頬を染めている。 「さっきの話覚えているネー? 随分と待ちましたヨ」 「ああ、待たせてすまなかった」 苦笑いをしながら提督は椅子から立ち上がった。机を回って金剛の側へと行き、その身を軽く抱きしめる。巨大な砲を背負い海を走る英霊の欠片。しかし、その身体は紛れもなく少女の物だった。 二人は見つめ合い。 「んっ」 唇を重ねた。 そして唇を放し、見つめ合う。 「えへへ……、久しぶりの提督の味デース」 楽しそうに笑う金剛に、提督は優しく頭を撫でた。 仮眠室のベッドの上、一糸まとわぬ金剛が仰向けになっていた。 「まったく綺麗な身体だ」 「あっ……提督ぅぅ……」 とろけたような表情で金剛が吐息を漏らす。 提督の手が優しく金剛の身体を撫でていた。ゆっくりとまるで形を確かめるかのように。腕から首や腋、胸からお腹、腰から足へと。 ほんのりと熱を帯び、紅色に染まった肌。 「このボディは提督のものデース。好きにしてかまいませんヨー」 胸元に両手を添え、金剛が誘うように見つめてくる。 「では遠慮無く」 むにゅ。 提督は金剛の胸に手を添えた。手の平に収まらない大きく張りのある膨らみ。指を押し込むと、確かな弾力とともに指が沈んでいく。 もにもにもにゅ、 「あんっ……提督ゥ、触り方がエッチネー」 甘い声とともに、金剛が身を捩る。 提督は苦笑しつつ丁寧に胸を揉み、乳首を軽く摘まんだ。 「んっ……!」 小さく身体を跳ねさせる金剛。 提督は金剛の肩に両腕を回し、そのまま唇を重ねた。 「!」 目を丸くする金剛。 提督は金剛の口へ己の舌を差し入れた。金剛も提督の肩に腕を回し、己の舌を提督の舌へといやらしく絡ませる。まるで二匹の生き物がまぐわっているかのように。 ぐちゅくちゃ、ぐちゅり……。ちゅぱ。くちゅ……。 お互いに舌を絡ませ、唾液を交換する、濃密な口付け。 身体の奥底から熱が沸き上がり、意識がぼやけてくる。 どちらとなく、二人は口を離した。 「提督、愛してマース……。大好きデース……」 提督の首に腕を回し、金剛が頬を赤く染めながら言ってくる。 軽い笑みとともに金剛の頭を撫でてから、提督は指を下に伸した。 「あんっ!」 秘部を一撫でされ、金剛が甘い悲鳴を上げる。既に身体は出来上がっていた。提督は仕上げとばかりに、ゆっくりと金剛の秘所を愛撫する。 「んっ、あっ……提督ぅ……。これは、凄く切ないネ……。んっ……あんまり焦らすのはノーだヨォ? 早く来て欲しいデース」 目元に涙を浮かべながら、金剛が見つめてきた。 「意地悪して済まなかった。それじゃそろそろ金剛を味合わせて貰うぞ」 「どうぞ、来て下さいネー!」 金剛が受け入れるように足を開く。 提督は大きく息を吸い込み、自分のものを金剛の膣口へと当てた。そのまま、ゆっくりと腰を動かし、金剛の中へと自分のものを沈めていく。 「あっ……。全部入りマシタ――」 愛おしげに下腹部を撫でる金剛。うっとりと頬を赤く染めていた。 柔らかく濡れた肉が提督に絡みついてくる。 提督は両手を伸した。 「ひゃぅ!」 金剛の胸を優しく揉みながら、腰をゆっくりと動かす。 「あっ、提督っ……。お腹の奥が……熱くて、満たされて……あんっ、とっても気持いいいデース……あっ。提督ぅ、私をぎゅってして下さーイ」 「甘えん坊だな、金剛は」 提督は金剛の身体に両腕を回した。迎えるように金剛も提督の身体に腕を回してくる。繋がった状態でお互いに抱擁しあい、二人は三度唇を重ねた。 身も心も繋がるような一体感。 十秒ほど抱擁を続けてから、提督は手を放した。 下半身は繋がったまま、金剛は恍惚とした表情で仰向けになっている。 「それじゃ、金剛の大好きなアレをやってあげよう」 「へっ? あれ……?」 金剛が顔を上げて見つめてくる。 提督は両手を持ち上げ、何度か握って開き、その手の平を金剛の下腹に置いた。 「あっ! 提督ッ! それはまだっ、心の準備が――」 なでなでなでなでなでなでなでなで! 「ッ!」 金剛の表情が一瞬強張り―― 「あッ、ああっ! あああっ、ノオオオオオオオオッ! あああああああああ! 提督うううううううううっ! 駄目駄目ダメダメって、うなああああああああああ! おなかっおなかっ撫でられただけでイっちゃうううううううあああああ!」 悲鳴のような絶叫とともに、金剛はバネが弾けるように全身を仰け反らせる。 同時に提督も金剛の中に精を解き放っていた。 「うぅ――ぅ……」 うつ伏せになった金剛が抱えた枕に顔を埋めている。 提督は背後位で金剛の膣をやさしく突きながら、両手で胸を愛撫していた。胸元から先端まで手の平全体で揉みほぐしていく。優しく撫で、指先でなぞり、ゆっくりと揉みながら、胸全体を強力な性感帯へと変えていく。 乳房の頂点では刺激に飢えたかのように、淡い色の乳首が勃っていた。 「ぅ……くっ……! ぁぁ……ぁ……」 時折軽く達したのか金剛が身を震わせる。 提督は金剛の耳元に優しく笑いかけた。 「金剛は胸撫でられるの好きだな」 「――……」 枕に顔を埋めたまま、金剛がぎこちなく首を縦に動かす。 「そろそろ先っぽ触る?」 「! ――! ―――っ!!」 声は出ないが、金剛は必死に頭を左右に動かす。 提督はにまっと意地悪な笑みを浮かべ、 「それじゃ、仕上げいくぞ」 「!」 金剛の身体が固まるが。 提督は迷わず金剛の乳首を指を走らせた。指先でひっかくように。 かりかりかりかりかりかりかり。 「ッッ!! あぁぁ……ぅ――……ぁぁ……! ぃ……っ ! ぉ――……! ううぉぉ――――ぉぉ……! あぁ……お――、ぁ――ぁぁ……ぁ……!?」 枕に顔を埋めたまま何度も痙攣し、金剛は声にならない咆吼を上げ続けた。 時計を見ると日付が変わってた。 ベッドに座った提督に向かい合うように繋がった金剛。いわゆる対面座位の姿勢である。思考も溶けた虚ろな目で、金剛は提督に抱きついている。 「今日も遅くまでやっちゃったな」 提督は金剛の背中を優しく撫でながら声を掛けた。 「………」 提督に抱きついた金剛は微かに頷く。 びく、びくっびくっ……。 浅い呼吸を繰り返しながら、何度も身体を跳ねさせていた。さきほどから達したままである。全身が性感帯となった金剛、撫でられるだけで絶頂を迎えてしまう。 フーッフーッ……。 猫のような呼吸音が耳に届く。 「テートクゥ……大好きデース」 「ありがと」 静かに呟き、左手でしっかりと金剛を抱きしめた。どこか安心するように力が抜ける金剛の身体。そして、提督は慈しむように右手で金剛の頭を撫でる。 なでなでなでなで……。 「! うっ!? ンン――ン……! ァ……ァァアァ――!? オオォォォ――!」 金剛は押し殺した声とともに、絶頂を迎えた。 肌を撫でる潮風に、提督はぼんやりと息を吐き出した。 「嗚呼。平和だ」 ベンチに座り休憩時間。目立った仕事は片付き、つかの間の平穏だった。霞ちゃんと愉快な仲間たちに執務室に縛り付けられることもなく、ただ贅沢に時間を消費する。 さわさわと、金剛の首元を撫でながら。 「あぁー……」 膝の上に仰向けになっている金剛。両腕と両足をだらしなく伸ばし、幸せそうな顔をしている。その姿に提督は実家で昔飼っていたネコを思い出していた。 「お姉さまー」 聞こえてきた声は比叡のものだった。視線を移すと比叡だけでなく、榛名と霧島の三人が歩いてくる。 「探しましたよー。こんな所にいらしたんですか」 とことこと小走りに近づいてくる比叡。 「あと提督も」 「って、俺はおまけカイ!」 ビシッ! っと勢いよく手をふる提督。 近くまでやってきた三人は、仰向けになってだらけている金剛を眺める。 手を下ろし金剛の首元を撫でる。 さわさわさわ。 「でぇーす……」 「お姉様、幸せそうですね」 猫よろしく恍惚としている金剛を眺め、微苦笑とともに榛名が呟いた。 提督はふと聞いてみる。 「お前たちも撫でてみる?」 「!」 三人の眼がきらりと光った。 「待って! ストッ――」 金剛は慌てて起き上がろうとして。 「まずは、このあたりを」 なでなでなで。 「ふむふむ」 「ほうほう」 「これはこれは」 なでなでなでなでなでなで。なでなでなでなで。なでなでなでなでなで。 「うなあああああおおおおおおああああ! のおのおおおおえええええええ!? ああああああああああ! はひいいいいいいいいいいいい!」 「続いてこっちも」 「あらあらあらあら。お姉様、かわいい」 さわささわさわさわさ。わしわしわしわし。 「にゃあああああああああああああ! おおおおおおおお! ああああああああ! ストップ! みんなストォォォォォプデェェェェス!?」 「なるほど。お姉様はここが弱いんですね。勉強になります」 「のおおおおおお! そこはっ、そこはダメネェェェェェェェ!? みぎゃあああ!」 「ああっ。こんなお姉様見たくないですっ!」 「って、そのカメラは何なのデェェェェス!? あにゃあああああああ!」 パシャパシャパシャ。 「このあたりなんか実は隠しスポットで」 さすさすさすさすさすさすさすさすさすさすさすさす。 「のおおおおおおおおおおおおおおおお! 提督ううううう! そこはあああああああああああああああ! ダメええええええ! うぎゃああああああああああ!? てめぇ、後で絶対覚えとけよぉおおおお」 「あっ……。あぁ……ぁ……」 ベンチに突っ伏して、白目を剥いている金剛。時折痙攣しながら、口元から涎を垂らしていた。意識はどこかにぶっ飛んでしまっている。戻ってくるまで暫くかかるだろう。 「やりすぎた……」 「やりすぎましたね……」 金剛を眺めながら、提督たちはぼんやりと呟いた、 |
20/5/23 |