Index Top 3話 雪の日のお話

エピローグ


「こたつは暖かいですねー」
 肩までこたつに入ったまま、シロが嬉しそうに笑っていた。
 電気を付け、窓を閉め、エアコンとこたつを再開する。冷えた部屋の空気が、温度を上げていた。しばらくすれば、元の暖かい部屋に戻るだろう。
「風邪引いたら元も子もないからね」
 正博はシロの頭を撫でながら、苦笑した。
「にゃぁ」
 シロが心地よさそうに目を閉じて頬を緩めている。
 ふと目を開けて、窓を見た。今はカーテンが閉じているが、外では雪が降り続いている。もう二、三センチくらい積もっているようだった。
「たくさん積もりますかね?」
「天気予報じゃ積もるって言ってたけど」
 猫耳の縁を指でくすぐりながら、正博は答えた。
 明日の朝までに十センチほどの積雪があるらしい。朝起きたら、一面銀世界になっているだろう。晴れるのは、明日の夕方のようだった。
 窓に指を向け、尋ねる。
「積もったら、雪合戦でもする?」
「いえ――!」
 黄色い目を見開き、シロは断言した。
「一日中おこたで丸くなってます」

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10/12/21