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第4章 ヒトとして初めての |
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お互いに顔を見合わせてから、ゆっくりと唇を合わせる。 「ん」 シロの喉から細い息が漏れた。 滑らかで柔らかな唇の感触を味わいつつ、正博はシロの背中に左腕を回し、右手でそっと頭を撫でた。きれいな髪の毛の手触り。白い猫耳が動いているのが分かる。 お互いに何度か舌を絡ませ、どちらからとなく唇を放した。 「ご主人様とのキス……」 口元を緩ませ、シロが呟く。 正博は自分の唇を嘗めてから、笑って見せた。 「俺のファーストキスだったな」 「そういうことは女の子が言うものですよ」 苦笑いをしながら、シロが指摘してくる。 正博は視線を逸らした。そうかもしれない。そうだろう。緊張のためか、口の中が乾いている。胸の奥が焼けるような熱を持っていた。 正博は頭を掻いてから、そっと右手を下ろした。一応、訊く。 「さわるぞ?」 「はい」 恥ずかしそうに俯いて、シロが頷く。 数拍の躊躇を挟んでから、正博はの胸に右手を触れさせた。絹のように滑らかな生地と、丸みを帯びた控えめな膨らみ。そっと押すと、柔らかな感触が手に返ってくる。 女の子の胸を触るのは、生まれて初めてだった。予想通りのものなのか予想とは違うものなのか、それは分からない。手の動きに合わせ、柔らかく形を変えている。 「何だか、くすぐったい……。頭がふわふわします……」 目を閉じたまま、シロが呟いた。両手でワンピースの裾を強く握り締めている。くすぐったそうにしているが、嫌がっている素振りは見られない。顔を真っ赤にして目を閉じて、顔を背けている。 正博は何も言わぬまま右手を放し、シロの両腋に両手を差し込んだ。 「え?」 思いの外軽いその身体を持ち上げて、前後を入れ替える。ぴこりと跳ねる猫耳。 正博は後ろからエプロンの下に両手を差し込み、シロの胸を包み込んだ。乱暴に揉むのではなく、両手で揺らすように撫でる。小柄ながらも存在感のある膨らみを、両手でじっくりと丁寧に味わう。 「ん、くすぐったいです……」 正博の手に自分の手を触れさせるシロ。しかし、嫌がっているわけではなく、正博の手の動きを自分で確かめているようだった。 「んん……ぁ……」 シロの鼻から悩ましげな息が漏れる。 自分の愛撫にシロが感じているのだと、正博は焼け付くような興奮を味わっていた。頭が熱い。だが、妙に冷静な部分も残っている。手の平に感じる小さな突起。 「シロ、気持ちいい?」 「はい……。人間って凄く、熱いです……」 口元を抑えながら、シロが頷く。人間の性欲は他の動物に比べて非常に強いと聞いたことがある。猫であるシロが人間の性に触れるのは初めてだった。 正博は指先で服の上から胸の突起を摘んだ。 「んッ!」 シロが微かに顎を持ち上げる。猫耳と尻尾がぴんと立った。 痛くないように、正博は優しく両手の指を動かす。小さなグミを弄っているような手触りだった。両手で転がしたり、撫でたりつ、軽く潰してみたり。 「ん……! っ……」 シロは声が漏れないように、自分の両手で口を押えた。 その耐える姿に言いようのない興奮を覚える。正博は手の動きに緩急を付けながら、つんと立った乳首のみを攻めていく。ただ、欲求の赴くままに。 「くぅ……。んんん」 口を押えたまま、顎を上げ、背筋を反らせるシロ。両足を擦り合わせて、逃げるように肩を動かしている。尻尾と猫耳が跳ねるように震えていた。 しかし、正博は指の動きを緩めることもしない。 両手で口を押えながら、シロが何とか口を動かす。 「ご主人、様……っ! んぁ、そんなに、胸ばっかり……」 「シロ、気持ちよさそうにしてるし。このままもう少し続けてもいいんじゃないかな? あと、多分大声出すと隣の人に聞こえちゃうから静かにね」 囁くような正博の言葉に、シロが慌てて口を塞ぐ。このアパートはそこそこ防音対策がしてあるので、よほどの大声でない限り隣には聞こえないだろう。ついでに、現在は外出中のようだが、シロはそれを考える余裕もないらしい。 「胸だけ弄るのもワンパターンだし……」 自分で確認するように呟き、正博はそっとシロの猫耳を舐めた。薄い毛に覆われた三角形の白い耳。薄い獣毛の感触を舌先に感じる。人間に化けた時は普通に人間の耳があり、猫耳は飾りのようなものになってしまうらしい。 「ヒッ……」 びくっと音がしそうなほどに、シロは身体を強張らせる。 正博は右の猫耳をそっと口に含み、甘噛みを始めた。胸を弄る手の動きはそのままに、猫耳への攻めを開始する。 「あっ、っ――。んんん……!」 両手で必死に口を押え、シロは声を呑み込んでいた。それでも、喉から漏れ出る声を完全に抑えることはできない。ぴんと伸びた二本の尻尾がぴくぴくと跳ねて、気持ちよさを主張している。 「思いの外凄いな」 右の猫耳から口を放し、左の猫耳への甘噛みを始める。乳首を弄っていた左手を放し、おなかや腕や首筋などを丁寧に愛撫しはじめた。 「んんッ! くぅぅ――! ご、ご主人、さま……っ!」 引きつるような、どこか苦しげな声。 正博はすぐに手と口を放した。 「すまん、大丈夫か……?」 「はひ……」 呂律の回っていない口調で答え、シロが振り向いてくる。既に目の焦点は曖昧で、呼吸も荒い。頬は赤く染まり、うっすらと汗が滲んでいた。 「大丈夫、です……。でも、もう身体が熱くて、熱くて……。何だか、私が私じゃなくなっちゃうみたいな……。人間って、凄い……ですね……」 切なげな声で、そう言ってくる。 正博は一度大きく息を吸い込み、そっとシロの右頬に自分の右手を添えた。顔を左側に向けさせ、自分の身体を少し前に出す。そのまま、シロの唇に自分の唇を重ねた。 「んっ!」 黄色い目が大きく見開かれる。 正博はシロの咥内へと自分の舌を差し入れた。そして、シロの舌を優しく撫でる。紙ヤスリのような猫舌であることも予想していたのだが、幸い人間の舌とさほど変わらないものだった。 「ん……」 シロが舌を舐め返してくる。 それから、お互いに舌を絡ませ合うような、濃厚なキスへと移っていった。シロの瞳からはほとんど理性の色が抜け落ちている。 同時、正博は紺色のスカートの中に左手を差し入れ、太股を撫で始めた。柔らかく、弾力のある筋肉。どこかぎこちなく、それでいてイヤらしい手付きに、シロが太股を閉じようとしている。だが、足を閉じることはできない。 正博は一度唇を放した。 「ふぁ、ご主人様……、もっとお願いします……。私を可愛がって……」 唇を震わせ、泣きそうな声を口にする。その言葉に込められた真意までは、分からない。ただ、正博は再びシロと自分との唇を重ね合わせた。 シロは両手を正博の首に回し、貪るように吸い付いてくる。 太股を撫でていた正博の手が、さらに奥のショーツへと触れた。 「ん!」 その感触に、シロの動きが止まる。 その反応には構わず、正博はシロの大事な部分をショーツ越しに撫でた。指先が柔らかな生地と、微かに粘り気を帯びた液体に触れる。指をゆっくりと上下に動かすと、ショーツに染みた液体が少しずつ増えていくように感じた。 唇を放し、シロは瞳から涙を流しながら、懇願してくる。 「ふあ。ああ……ご主人、さま……。早く、お願いします……。早く、私の中にお願いします。このままだと、私……おかしくなっちゃいますよ……!」 「分かった」 正博は頷き、シロを抱え上げた。 そのままこたつの上へとうつ伏せに下ろす。四肢に力が入らず、身体を起すこともできない。猫耳と尻尾も力なく垂れている。 「失礼……」 そう一言断ってから、紺色のスカートの裾を持ち上げた。 きれいな太股と、丸く小さなお尻。三角形のショーツのクロッチ部分は、しっとりと濡れていた。さほど前技はしていないのだが、シロは既に我慢の限界に達しているようだった。これ以上じらしても、苦しいだけだろう。 「ご主人様……」 「大丈夫、力を抜いて」 不安げに呟くシロに声を掛けてから、正博はズボンのチャックを開けて、自分のものを取り出した。熱いくらいに張り詰めている男性器。 ショーツのクロッチを指で横にずらす。 露わになるシロの女性器部分。ピンク色をした、綺麗でグロテスクな肉の割れ目。見た目は人間とほぼ変わらない――と思う。シロは子供を産んだことがないが、処女なのかどうかは不明だった。 「行くぞ?」 「はい。来て下さい……」 振り向かぬまま、シロが答える。こたつの上にうつ伏せになったまま、両手で顔を押えていた。恥ずかしさに耐えるような仕草に、嗜虐心が微かにうずく。 正博の先端が、膣口に触れた。 ゾクリ、と背筋を走る寒気。 息を呑み、覚悟を決め、正博はシロの中へと挿っていく。 「んん……。あぁ……。ご主人さまぁ……」 シロが甘く切ない声を上げていた。 柔らかな濡れた肉を先ながら、奥へと進む。絡みつくような肉の感触に、歯を食いしばって射精を耐える。そうして、根本までシロの中へと呑み込まれた。 「入ったぞ……」 シロの頭を撫でながら、正博は擦れ声を口にする。 「はい。ご主人様が、私の中に……。ありがとうございます」 シロが満足げに頷いていた。 正博は息を呑み込む、全身が重い。性行為というものが異様に体力を消耗するものであると、思い知らされていた。だが、今更止めるわけにはいかない。 シロのお腹に右手を差し入れ、少し腰を持ち上げる。 「動くぞ」 そう言うなり、返事も聞かずに正博は腰を前後に動かし始めた。決して速い動きではないが、丁寧にシロの膣内を刺激している。 「ああっ……、んんん……、何だか、身体が痺れます……!」 両手でこたつの縁を握り締め、シロが必死に声を噛み潰している。さきほどの言葉が頭に残っているのだろう。 「こっちも、かなり限界近い」 あくまで丁寧に動きながら、正博は正直に呟いた。 「できれば一緒に行きたいんだけど……」 「っ、私の、尻尾……。付け根……、触って下さい」 シロが何とか声を絞り出す。 何度かイタズラでやったことがあるから分かる。痙攣するように跳ねる二本の尻尾。その付け根を、左手の指先で軽く叩く。 「にッ!」 鋭い吐息とともに、シロの身体が跳ねた。膣内が一気に締まる。 猫にとって尻尾の付け根は一種の性感帯らしい。敏感な部分だけに、触られるのを嫌がることも多い。何度か引っかかれた経験もある。だが、このような状況下なら、簡単に絶頂を調整できる部位として使えるだろう。 「なら、そうさせてもらう」 正博は腰の動きを早めつつ、人差し指で尻尾の付け根を軽く叩き始めた。 「にっ、にゃぁ、なぁぁ……、ふあぁ……」 シロの喘ぎ声が人間のものから猫のものへと変わっていく。付け根を指で叩くたびに、身体が震えて膣内が締め付けられた。リズムを取るように付け根を指で叩き、シロの快感を調整しながら、ともに絶頂へと上り詰めていく。 「なぁぁぁ、うぅぅぅぅ……」 沸き上がる性感を受け止めるように、シロはこたつの縁を両手で掴み、歯を突き立てていた。十八年間も猫として生きてきたシロにとって、人間の性感は許容量を遙かに超えたものなのだろう。 こたつの縁から口を放し、シロが振り返ってきた。両目から涙を流し、口元から涎を垂らした、恍惚とした表情。黄色い瞳は焦点も合っていない。 「ご主人様……。もう、私、限界です……!」 「なら、一緒に行くぞ」 そう告げるなり、正博は尻尾の付け根を指で強く押した。さらに、身体を前に傾けることにより、今までよりも奥深くまで挿入。駄目押しとばかりに、シロの猫耳に軽く噛み付いた。シロの動きが一瞬止まる。 「っ! なあああぁぁぁぁ、んにゃああああぁぁぁぁぁ!」 発情期の猫のような嬌声とともに、シロが一気に絶頂を迎えた。跳ねるような大きな痙攣とともに、全身の筋肉収縮させ背中を大きく仰け反らせる。 強く締め付けられた膣肉に、正博は溜まらず精を放っていた。 今まで溜まっていた分を一気に出し切るような、痛みすらともなった強烈な快感とともに、十秒近い射精感を味わう。それは、今まで感じたこともない強さだった。 思考の空白から戻り、自分のものを膣内から引き抜く。勢いはまだ残っているが、二回目は無理だろう。シロはこたつの上に突っ伏したまま、荒い呼吸を繰り返していた。既に体力を使い切ってしまっている。 「シロ、大丈夫か?」 「だ、だいようふでス……」 呂律の回っていない回答。 「でも、とっても気持ちよかった……です……。私が、人間になるには、まだ足りないので……またお願いしますね、ご主人様」 肩越しに振り向いて、嬉れしそうに微笑んでみせる。しかし、ぐったりとしていて身体はまともに動かないようだった。しばらくは動けないだろう。 正博は右手でシロの頭を優しく撫でながら、気の抜けた笑みを向ける。 「分かってる。でも、毎日は無理だぞ。俺としても」 「はい」 頷くシロ。本当に満足そうに微笑んで見せた。 「ありがとうございました。ご主人様……」 |