Index Top 第4話 猫神の凉子 |
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第5章 女の子同士で? |
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凉子が浩介の胸を撫で回した。 「ふふ。浩介くんの胸、柔らかい」 胸の膨らみを他人の手が弄る。自分で撫でたことは何度かあるが、他人に触れるのは始めてだった。リリルに弄られたことはあるが、あれは正常状態ではないので除外する。 「気持ちいい?」 言いながら、凉子はキツネ耳の先を噛む。 微かに肩が跳ねたが、気づかないふり。 「あー。どうだろう?」 鏡越しに凉子を見つめ、浩介は答えた。脳震盪で身体に力が入らない。胸とキツネ耳から、暖かいような寒いようなくすぐったさが全身に広がっていく。 (感じてるな……俺) どこか他人事のように、そんなことを考えた。女の快感を覚えたのはまだ二回だけ。しかし、身体はしっかりと記憶している。 「ちゃんとココも硬くなってるよ」 両手で乳首を摘みながら、凉子が呟いた。指が動くたびに、弱い電流のようなモノが流れる。丁寧な手付きに身体が徐々に出来上がっていた。 全力で手を振り回せば逃げられるだろう。身体が全く動かないわけではない。 「凉子さん」 逃げるかわりに、浩介は尋ねる。 「今まで、女の子と今みたいにしたことある?」 「ううん。浩介くんが初めてだけど。それがどうかした?」 胸を両手で揉みながら、あっけらかんと答える凉子。 「なぜに、俺?」 問いかけると、凉子は浩介を椅子ごと後ろに引っ張った。 くるりと身を翻し、浩介の目の前に移動する。浩介の肩を掴んだまま、満面の笑顔を見せた。ゆらゆらと揺れる尻尾。きらきらと輝く猫目。ぴくぴくと動くヒゲ。 「心は男、身体は女――! 面白いじゃない!」 言い切るなり、浩介の唇に自分の唇を重ねた。柔らかい唇の感触。 「うッ……」 呻き声に構わず、浩介の口の中へと舌を差し込み、自分の舌を絡ませる。唾液を舐め取るようなディープキス。男としても女としても初めての体験。 ひたすら舌を絡ませること十数秒。 「ふはぁ」 凉子は唇を離した。頬を赤く染め、満足げに自分の唇を舐めている。放心状態の浩介を左手で抱えたまま、右手を秘所へと触れさせた。 浩介の全身が総毛立つ。だが、動かない。 指先が割れ目を一撫で。 「ひッ――!」 浩介は短く息を漏らした。指で撫でる。ただ、それだけ。それだけの動作。だというのに、全身が震えるほどの痺れが走った。 「何だ……これ?」 戸惑いながら呟く。身体が勝手に快楽を求めていた。自分で弄った時とはまるで違う。術でもかけられたかのように、身体が火照っていた。 「女の子のことは、女の子が一番分かるんだよー」 得意げに言う凉子、説得力のあるようなないような台詞。女になって一週間ほどの浩介よりも、凉子の方が女歴は長い。 「ね?」 「ッ!」 指先が再び割れ目をなぞる。背筋を駆け上がる、甘い痺れ。やはり男よりも数段強い。楽しげに口元を緩め、凉子は浩介の恥部を攻め続けた。 「気持ちいいでしょ?」 「ううっ。あぁ……!」 浩介は凉子にしがみつく。 何かに掴まっていないと、そのまま倒れそうだった。身体の芯が熱い。全く力が入らない。脳震盪のせいだけではない。 「うぅ、くっ――。んん」 凉子にしがみついたまま、呻き声を上げる。恥部を弄る凉子の指。抗うこともできず、ただ攻めを甘受する。既に濡れているのが自分でも分かった。 風呂場の熱気とは別に、身体が熱い。 右手を止め、耳元で凉子が囁く。 「浩介くん。私の左手、空いてるんだけど。どこ攻めてほしい?」 「ちょっ、待、てッ」 その台詞に慌てて反駁するが、続きの言葉が出てこない。 「胸、ミミ、尻尾? どこがいい?」 「あ……く、待て――」 何か言おうと口を開くも、何も言えない。拒否すれば何もしないだろう。しかし、拒否できない。頭が拒否しようとしていいても、身体がそれを求めている。 そうしているうちに、凉子の手が動いていた。 「じゃあ、尻尾♪」 凉子は浩介の尻尾をぎゅっと握り締める。 「!」 尻尾から全身に伝わる熱い寒気。浩介は腰を跳ねさせ、身体を痙攣させた。力任せではなく、丁度いい力加減。そして、凉子の両手が動いた。 尻尾を左手でしごきながら、右手で恥部を撫でる。 「うあぁ。あぁ……」 声にならない声を上げながら、浩介は身体を震わせていた。手慣れた手つき。まるでこの身体を知り尽くしているように、敏感な部分を刺激している。 手を止めて、凉子が言ってきた。 「ねえ、浩介くん」 「あ、う――。なん、だ?」 肩で息をしながら、浩介は訊き返す。身体が熱い。湯気が身体に張り付き、汗と混じって肌を濡らした。のぼせたように、頭の中が霞んでいる。 「浩介くんだけ気持ちよくなってずるい。私も気持ちよくして」 そう言うなり、凉子は左手で浩介の右手を取った。浩介が何か言おうとするよりも早く、躊躇なく自分の秘所へと触れさせる。 「っ!」 浩介は息を呑んだ。指先に感じる柔らかい肉の感触。産毛のような柔らかな淫毛。そして、風呂の水とは明らかに違う湿り気。 「私がやってみたいに、動かしてみて。あ、尻尾もね」 「あ、うん」 ほとんど思考停止した頭で、浩介は頷いた。 「お豆はまだ触っちゃ駄目だよ」 言われた通りに右手を動かし、凉子の秘部をゆっくりと撫でる。男にはない器官。女にしかない部分。割れ目と、その周りの微かな膨らみ。 「うん。ちょっと拙いけど、気持ちいいよ。早く尻尾……」 甘い声で囁く凉子。 言われるがままに、浩介は凉子の尻尾を掴んだ。 ぴくりと凉子の身体が反応する。やはり、尻尾は敏感な器官なのだろう。手触りは少し太めの猫の尻尾。猫の尻尾を触ったことはないが。 自分にやられたように、凉子の尻尾を左手でしごくようにこする。 「きゃっ」 小さな声。ぴんと伸びる尻尾。 浩介は構わず両手を動かした。 「あ……ぁ。いいよ。浩介くん――私もお返ししなくちゃ……ね」 「ひァッ!」 恥部と尻尾に走った電流に、悲鳴を上げる。凉子を触っているという興奮の上に、さらなる刺激。凉子の身体に寄りかかったまま、脱力する。 「手を止めないで、ちゃんと続ける」 「あぁ、うん……」 呆然と頷きながら、浩介は両手を動かした。凉子の身体が小さく痙攣し、両手の動きが変わる。右手に感じる恥丘の弾力と、左手に感じる尻尾のしなやかさ。 「ん……」 凉子の口から吐息が漏れる。 (俺、今何してるんだ……?) どこか冷静な部分がそんなことを思ったが、身体は止まらない。理性の制御を受け付けない。凉子の手の動きを真似するように、浩介は手を動かした。 指先で膣口の辺りを優しく引っ掻きながら、尻尾を握った左手を扱くように上下に動かす。凉子が自分にしていることと同じ動き。 「んっ。ねえ、浩介くん……。私たち女の子同士で、自分たちの大事なところを、触り合ってるんんだよ……。物凄くエッチなことしてるって思わない?」 「俺はッ、男だ……うぅ。あぅ」 的外れな答えを返す浩介。 「もう、いいかな」 そう言うと、凉子は手を離した。自然と浩介の手も止まる。 凉子は浩介の身体を風呂場の床に寝かせた。背中に感じる濡れた床の感触。 手足の先から神経、脳まで……とろけたように力が入らない。荒い呼吸を繰り返しながら、放心したように凉子を見つめる。 凉子は、浩介の足下に腰を下ろすと、右手を伸ばした。 「ちょっといい?」 「うあぁッ!」 割れ目をひと撫でされ、浩介は身体を跳ねさせる。さきほどから延々と刺激を受け、身体が完全に出来上がっている。発情したように。 人差し指を舐めて、凉子はにっこり笑った。 「もう大丈夫だね。準備万端。にゃはは、これ一度やってみたかったんだー」 楽しそうに言いながら、浩介の右足を掴み上げる。百八十度開脚もできる柔軟な身体。ほとんど真上まで足が持ち上げられ、秘部が丸見えになった。だが、抵抗できない。 「うん。こっちも――ん……いいかな?」 自分の部分を一度触ってから、凉子は頷いた。 浩介の足を掴んだまま腰を下ろし、自分の秘部と浩介の秘部を近づける。愛液に濡れた二つの割れ目。浩介はじっとその様子を見つめていた。 「いくよ」 そう言って、二人の秘部を重ねる。 くちゅ。 湿った音がやけに大きく感じた。 今までとは違う、じんわりとした暖かさが身体に広がっていく。熱い刺激とは別の快感。それは凉子も同じようだった。安堵のような表情を見せている。 自分も似たような顔をしているのだろう。 「じゃ、動かすね」 凉子が腰を動かした。 割れ目が前後に絡み合い、クリトリスが擦れ合う。 「………!」 一転して目の前に散った火花に、浩介は無音の叫びを上げた。 完全に身体が出来上がったところへの、淫核への直接刺激。それだけで、絶頂を迎えてしまう。女の快感は男は違う上、その強さは何倍にもなるのだ。 「ああッ。いい。やっぱり、気持ち、いいッ……!」 腰を動かしながら、凉子が甘い声を上げている。浩介と自分の陰部を擦り合わせ、頬を染めて快楽を味わっていた。濡れたモノが擦れ合う湿った音。 だが、浩介は必死に手を伸ばしていた。 「くッ、ぁあッ! 待て。うぅ……マジで、待って……ッぁ!」 イきっぱなし。浩介の状態を表すならば、まさにその言葉通りだった。絶頂感が止まらない。クリトリスが触れ合う度に、脳を焼くような電撃が走る。 「にゃははー。待たないよー。もっと気持ちよくなろ?」 笑いながらそう言うと、凉子は左手で浩介の胸を掴んだ。 「……ッ!」 新たに加わった刺激に、浩介はさらに強い絶頂を迎える。手足の筋肉を収縮させ、背筋を逸らし、大きく口を開ける。舌を突き出し、涙を流し、声にならない叫びを上げた。 一瞬意識が飛んだだろう。 だが、気絶する暇もなく、現実に引き戻される。 「どう、気持ちいいでしょ?」 「かッ、あああッ。やめ、てッ! うああッ!」 淫核と秘裂からの刺激に、胸からの刺激。浩介は悲鳴を上げていた。何だか分からないぎりぎりのところで踏み止まり、凉子の腕を掴む。 だが、凉子は止まらない。恍惚の表情で、快楽を貪っている。 「あぁッ。私も、もう少しでイきそう……!」 「おおおッ、ああああッ!」 早くなる腰の動きに、浩介は身体を激しく痙攣させた。胸を弄る手の動きも加速している。女の快感は女でないと耐えられない。ふとそんな言葉を思い出す。 「じゃあ、一緒にイこ♪」 ひゅんと音を立てて動く凉子の尻尾。両手が塞がっていても、凉子は尻尾を腕のように動かすことができる。 「―――ッ!」 快楽と苦痛の入り混ざった混沌の中で、浩介は目を見開いた。予想通り、凉子の尻尾が浩介の尻尾を絡み取る。ぞわりと全身に寒気が走った。 絶頂へと向かうように、さらに加速される凉子の身体。 脳を焼く快感。 「イくよ、浩介くん!」 そして、凉子の尻尾が浩介の尻尾を思い切り締め付けた。 「………!」 感覚の限界を超えた快感に、がくんと派手に身体を跳ねさせ。 浩介は意識を失った。 「あぁ……」 ぴくぴくとと身体を震わせ、絶頂の快楽を得る。 じんわりと体中に広がる心地よさ。自分で慰めるものとは全く違う、暖かな快感。他人と交わるという充実感。十数秒かけてその感覚ををじっくりと味わってから、凉子は浩介に声をかけた。 「どうだった、浩介――く?」 言い終わる前に口を閉じる。 凉子の下になったまま、浩介は白目を剥いていた。 「あ、れ?」 右足から手を離し、巻き付けていた尻尾を放して、凉子は浩介の横に移動する。 壊れた人形のような恰好で、風呂場の床に倒れている浩介。意識はない。完全に気絶していた。口から涎が垂れている。鼻を突く独特の匂い。匂いの元を見ると、浩介の股間から透明な液体が流れていた。失禁してしまったらしい。 普通の行為でここまでなることは、ない。その手の術は使っていない。 「なんか……私、まずいことしちゃった?」 ヒゲを引っ張りながら、凉子は誰へとなく尋ねた。 |