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術の設定


 
術・魔法

意志の力を用いて現実に干渉する方法。

修行すれば誰でも覚えられるが、人外に関わってしまう危険性があるので一般人に教えることはない。術師が一般人に術を教えれば逮捕される。もっとも、素質がない一般人が修行しても、焚き火ほどの炎を作るのが精一杯。無理して覚える必要もない。
基本的に素質は遺伝によるが、突然変異で強力な術師が生まれることもある。

発動方法
呪文、印、符、陣などの術式を組むものと、術力を媒介に発動させる。術のエネルギーが大きいほど、術の現象が現実離れしているほど、消費術力が大きい。印などがなくとも術式が組める。


性質
術は努力次第で誰でも覚えられる術と、相性に大きく作用される術がある。ほとんどは、両者の特性を持ち、その割合が違う。
 複雑さや、消費術力、身体負担などから難易度が設定されている。

 難易度1    基礎
 難易度2〜3 初級
 難易度4〜5 中級
 難易度6〜7 上級
 難易度8〜9 秘術、奥義など
 難易度10   写本を含む禁術

難易度5の術までは比較的容易に習得できる。だが、そこに見えない壁があり、難易度6以上の術を習得するにはかなりの努力が必要とされる。
ただし、あくまでも目安であり、難易度が低いからといって必ずしも弱い術とは限らない。沼護家の蟲による攻撃は難易度が低くとも、強力。逆に、難易度が高く、実用性のない術も存在している。

術の原理や術力の正体などは、ある程度の部分まで科学的に解明されている。無論、術の研究ができる科学者は世界的にも少ないため、不明な部分も多い。


術関係の用語

術力
術を発動させるのに必要な力。霊力、妖力、法力などの総称。微妙に性質が異なるだけで、基本的に同じ力。

総術力
自分が持つ術力の総量。術力全て使い切っても術が使えなくなるだけ。
もっとも、術力の使用には体力の消耗を伴うので、限界まで使い切ると体力もほぼ全て消耗してしまうため、術力の全使用はまず無理。

術力容量
一度に使える術力の総量。最大筋力のようなもの。容量を超える力を出すのは無理ではないが、身体に大きな負荷がかかる。容量よりも二割ほど強い力を出すのが、事実上の限界。
限開式はこの術式容量を二倍以上に広げる方法。

術式
術の構成。平たく言えば、術のプログラムソース。当然ながらプログラムとは勝手が違い、組んで術力を通せば使えるといいうものでもない。
印や符などを用いるものと、即座に組めるものがある。印や符を使うようなものでも、技術が上がれば何もせずに即座に組めるようになる。

術力密度
術力を圧縮した度合い。密度が高いほどより術の効果は高まる。また、干渉力を高めることが出来る。ある地点まで圧縮すると、術力の性質が極端に変わるという相転移のような現象が起こる。

反面、術力密度を高めると術の規模が小さくなってしまう欠点がある。効果範囲の広い術を使うには、圧縮はある程度で止めておく必要がある。
逆に密度を薄めて、効果範囲を広げる技法もあるが、意外と難しいこともあり、好んで使われることはない。

射程距離
術を発動できる距離。これが大きいほど、より遠くで術を発動できる。射程内で発動した術の効果を射程外まで飛ばすことは可能。哨界の術を広げられる広さがその射程距離の目安。

一概に射程距離が長いほど有利というわけでもなく、射程距離が短い者は総じて術力密度が高い。
ごく稀に射程距離ゼロで、非常に高い術力密度を持つ者が現れる。

干渉力
術が現実に干渉できる力の程度。干渉力が大きいほど、現実離れした現象が起こせる。術力密度を高めることによって、干渉力を高めることが出来る。
ただ、干渉力が強くなると、現実世界から受ける反作用も大きくなるる。

術式精度
術式の細かさ。精度が高いほど複雑で高度な術式が組める。ただし、精度が高い術は壊れやすく、術式破壊の影響を大きく受けてしまう。

属性
術の属性。術力自体が属性を持つこともある。日暈の術力は火薬の属性で、高い爆発力を持つ――など。
炎や水、風、獣、樹など自然系の術は簡単。
音や力、光や闇などの特殊なものは、制御が困難。
時間、空間などの世界を構成するものの属性は、習得が困難でさらに消費術力も膨大。


効果を対象に刻み込む系統の術をこう表現することもある。封印の式、解印の式など。破魔刀や式服にも用いられている。

術・魔法の種類

霊術
人間が使う術の総称。霊力を媒介とする。
精緻な術式が組みやすい。反面、大規模な術式が組みにくい。

妖術

妖怪が使う術の総称。妖力を媒介とする。
大規模な術式が組みやすい。反面、精密な術式が組みにくい。

法術
神が使う術の総称。法力を媒介とする。
干渉力の強い術式が組みやすい。反面、制御が難しい。

魔術
魔法を模倣して作られた術。魔力を媒介とする。
バランスがよく、良くも悪くも安定していいて、癖が小さい。
元々西洋の術なので、体質的に日本人に合わず普及率は低い。上記の三術以外をまとめて魔術と呼んでしまったりと、日本国内では定義が曖昧。

魔法
妖精や精霊、魔族などが使う力。使用者の癖が大きく出る。
使用者の意志を、術よりも強く現実に反映出来る。通常に使う場合は術とさほど効果は変わらないが、高度な使い方をした場合に明確な差が出てくる。
カルミアやリリルでは、そこまで高度な使い方は出来ない。

錬気術
肉体のエネルギーを操る術。気を媒介とする。
射程距離が短く、現実変換能力は弱い。
反面、扱いやすく、性質強化などには非常に向いている。そのため、接近戦を得意とする者が好んで使う。日暈家の人間は霊術と錬気術を同時に使うことが多い。
だが、術としては一般的でない。

呪術
名前の通り呪いの術。呪力を媒介とする。
発動の際の危険性が極めて高く、術を発動させるのに必要な術力も大きい。効率がよくないが、原始的な術とも呼べる。
他の術で「呪い」のような効果を持つものを呪術と称することもある。

幻術
相手の五感に錯覚を起させ、精神を攻撃する術の総称。
通常は幻を見せるだけだが、精神への干渉から相手の身体へ実際の損傷を与えるのが本来の目的。もっとも、難易度が高い。
難易度が高い。

血継術
特定の血筋の者だけが仕える術。総じて癖が強く、特異な効果を持つ。日暈家の合成術、沼護家の蟲の使役など。守護十家の人間は全員血継術の使い手。
他にも国内で六十種類ほどある。
ただし、その血筋以外の者でも創意工夫で血継術と同じ術を使うことはできるが、あまり効率的ではない。


忌術
残酷な効果を持つ術、使用に非常に高い危険を伴う術など、様々な理由から使用を禁止されている術の総称。
術式は公開されていない。

禁術
極めて危険な威力を持つ術。世界を狂わせるほどの干渉力があり、普通の術ではその効果を軽減することも出来ず、一級位の相手でさえ絶対的な効果をもたらす。使用するだけでも凄まじい術力が必要となり、発動するだけで総術力のほとんどを消費してしまう。習得も極めて困難。

日本国内には七十二種類あり、神殿の最奥で管理されている。本物の禁術は、禁術の器と呼ばれるものに納められているらしい。世界全体では千種類くらいある。未発見の禁術もある。

禁術の写本
禁術を通常の術に組み直したもの。日本国内に百冊ほど存在する。効果は禁術そのものには劣るものの、通常の術師が防ぐことは不可能。扱いやすくしたといっても、消費術力は膨大で、制御も困難。

理の力
白鋼の持つ力。詳細は不明。


代表的な術

治癒の術
身体の傷を治す。術力にもよるが、回復量は人間の治癒力で可能な範囲のみ。高位の術師なら切断された四肢をつなげることも出来るが、失った部位の再生は出来ない。

退魔師の基本術。
難易度1〜

蘇生の術
治癒の術の上位術。物体の持つ記憶を辿って傷を再生させる。修復の術の応用でもあり、重傷でも短時間でほぼ元通りの状態へと復元できる。快復力が大きい分、消費術力も大きく、制御も難しい。
破損した組織が失われている場合などは、治せない。
難易度4〜


組成再生の術
身体の欠損した部分を再生させる。極めて高度な術。
術力で身体を擬似的に復元させ、時間をかけて、その部位を自分の身体としていく。つまり、最初に再生させた部分は偽物で、時間をかけて本物の身体になっていく。

術力や生命力の弱い相手には効果が薄く、実質退魔師などの術師にしか効果がない。
難易度7〜

修復の術
壊れた物体を直す。無生物は自己治癒能力を持たないので、術の難易度が高い。術で擬似的な治癒力を生み出し、物体の「記憶」を遡らせて元の状態に戻す。

壊れからの時間経過、対象物の複雑さ、破損状況などが、術の難度に深く関わる。故障したパソコンを直す程度なら、割と簡単に出来る。
失った部品を復元することは出来ず、元の形状が分からないものも復元することは出来ない。
退魔師の基本術。
難易度3〜

人払いの術
人間を遠ざける力を持つ結界を張る。結界内は擬似的に外界と遮断される。少騒いでも周りには気づかれない。あくまでも擬似的にであり、騒ぎすぎると気づかれる。
退魔師の基本術。
難易度2〜

術式破壊
術力の構成を破壊して、術そのものを無力化させる方法。緻密な術には効果があるが、純粋なエネルギー放出型の術には効果がない。

術式に大火力を叩き付け破壊するという原理なので、消費術力が大きい。破壊効率を上げた専用の術もある。合成術や砲撃術は通常で術式破壊効果を持つ。
覚えておくと便利な術。

無論、対策術もあり、どんな術も無力化出来るわけではない。
難易度3〜

口寄せの術
任意の道具および生物を、手元に瞬間移動させる術。

口寄せするモノは、基本的に自分の所有物でなければならず、口寄せの術式をあらかじめ組んでおかなければならない。
無生物を口寄せするのは割合簡単。
難易度4〜

召喚
次元の門を開き、異界の存在を呼び出す方法。口寄せの術とは原理が違い、一応魔術に属する。

相手が動物や昆虫のような知能の低いモノの場合は、力と術式があれば無差別に召喚出来き、そのまま使役することも出来る。

だが、知能の高い存在である場合は、呼び出すだけで相応の対価が必要となり、相手の都合も考慮される。
難易度5〜

尻尾抜きの術
獣族が服に尻尾を通す時に使う術。布ならばほぼ全てのものを透化できる。非常に簡単な術で、獣族は無意識にこの術を使うことが出来る。
難易度1

ただ、なんとなく尻尾の根元が拘束されているような感触が嫌で、服に尻尾穴を開ける者もいる。

憑依の術
相手に取り憑く術。
憑依するには相手よりも強い精神力を必要とされる。恐怖や焦燥などで相手の精神力を弱らせることもある。

実体の薄い人外は、そのまま使うことができる。
だが、完全な実体を持った人間は、自身の精神を身体から切り離す必要がある。その場合、身体が無防備になってしまうという欠点もある。よほどのことがない限り人間が使うことはない。

高位の術師になると、憑依した相手の記憶を読むなども出来る。ただし、憑依した者の精神は、常に憑依された身体からの影響を受けるため、長時間憑依を続けると相手と同化してしまう危険性がある。

応用で他者の記憶を読むことなども可能。

難易度4〜

認式の術
およそ20cm角の立方体の結界を造り、中に小さな術力の結晶を入れる。そこに術力を注ぎ込むと、術者の特性が結晶を中心に具現化する。
簡単な特性識別のための術。
難易度3

命断の式
攻撃に生命力を削る効果を付加させる術。普通の相手には使う必要がないが、形を持たず通常攻撃を受け流してしまうような相手の生命力を直接攻撃する際に使われる。葉月や草眞を倒すのに必須。
この術による傷は治癒が遅い。
難易度6


迫撃術

接近戦の要として使われる術。
主に身体能力を拡張する術で、身体の各器官や武器に術力を通し、強化する。複数の術を同時に使うことも出来るが、当然消費術力も増える。強化の術は、通常と高位系がある。
術式は単純で発動させる際に、印や呪文などを必要としない。

術力を加えるほど単純に効果が増す。高位系の術を使えば、通常系の術よりも強化割合が大きくなる。ただし、高位系の術は術力消費が大きく、難易度も高い。

剛力の術、覇力の術
筋力を強化。俊敏性は上がらない。
難易度3〜 難易度5〜

瞬身の術、縮地の術
俊敏性を強化。身体が軽くなる欠点がある。
難易度3〜 難易度5〜

鉄硬の術、金剛の術
防御力を強化。動きがやや遅くなる欠点がある。
難易度3〜 難易度5〜

破鉄の術、破空の術
攻撃力を強化。武器や身体の強度も一緒に強化される。
難易度3〜 難易度5〜

飛燕の術、砲華の術
攻撃を飛ばす。威力は術力に比例する。
難易度3〜 難易度5〜

飛跳の術、飛翔の術
高く飛び上がる術。着地時に気を抜くと危険。
難易度3〜 難易度5〜

哨界の術
知覚の網を広げ、周囲の状況を探る。
難易度4〜

穏行の術
存在を希薄化し、気配や姿を消す。
難易度4〜

重身の術
身体を重くする。
難易度4〜

軽身の術
身体を軽くする。
難易度4〜

乱歩の術
あらゆる場所を自在に移動する術。

壁歩き
壁や天井を歩く。走る程度には足が離れても大丈夫だが、跳んだりすると地面に落下していく。
難易度3

水雲
水上を歩く。技量にもよるが、足は僅かに水に沈む。
難易度4

空段
空中に小さな足場を作る。
普通は、空中を蹴る二段跳びに用いられる。
高度が上がるほど、連続使用回数が増えるほど、術力消費が等比級数的に大きくなるため、連続して使用することは難しい。
難易度5

空道
空中に不可視の道を作り、そこを走る。空中を自在に移動することが出来る。事実上の飛行能力。
難易度は非常に高く、相性も強く関わる。
難易度7


その他の技術

日暈流体術
触れただけで死に至ると言われるほど危険な技。
人でない者を倒すことを目的として考えられているため、その謳い文句は誇張でもない。生身の人間なら、充分殺傷できる。
戦闘では武器を使えるとは限らないため、日暈家の人間は標準的に習得している。素手でも、武器を持った時に近い破壊力を生み出せる。


肢刃
指から手、腕、肘、足、膝……手足のあらゆる部分で相手を斬り裂く。強靱に鍛え上げた肉体と、高速の動きからなされる絶技。
慎一の指刃はこの技の一部。
難易度7

振打
打撃を振動として相手のに叩き込む技。主に掌打として放たれる。強烈な衝撃の波紋として、防御を突き抜け内蔵まで響く。相手の身体から振動の伝わり方を即座に見切らなければならない。
難易度6

経断
振打の応用。指先で打撃を神経まで送る。食らうと神経が麻痺し、しばらくその部分が動かなくなる。心臓へ食らうと最悪心停止。そうでなくとも、心拍数が上がらなくなり、激しい動きができなくなる。
見た目は緩い突きなので、知らないとまともに食らってしまう。
難易度7

剛体
打撃の瞬間に全身の関節を硬化させる、いわゆる剛体術。弛緩から硬直への流れが必要となるので、自在に撃てるわけではない。
慎一の突きは大抵この技として放たれる。
難易度6

破砕
振打と剛体の合わせ技。剛体で放たれた衝撃を振動として相手の内部へと浸透させる。妖怪や神でも防御なしで食らうと、内臓に深刻な損傷を受ける。生身の人間ならば、九割方即死。
難易度8

流れ
投げ技。重心移動と力の動きを見切り、相手を投げ飛ばす。厳密に言えば、投げからさらに力業に移行し、相手を地面や壁などに叩き付ける。日暈家の人間の中で使う者は少ない。
難易度6

隙動
相手の呼吸と動きの癖を見切り、その間隙を縫って攻撃を仕掛ける。それにより相手の反応が僅かに遅れてしまう。結果として、認識しているのに反応できない攻撃に見える。
慎一の父克己が得意とする。
難易度7

割打
衝撃を直線的に打ち込み、対象物を割る。主に手刀や足刀によって放たれる。身体に受けると、その部分の骨がきれいに折れる。
武器で放つこともでき、慎一の破魔刀は突きと割打を放つために直刀に作られている。
難易度8

壊撃
日暈流体術の奥義。破砕をさらに高めた打撃法。拳により、相手を文字通り破壊する。現時点で使えるのは、恭司のみ。
恭司は鉄筋コンクリートの塊をこの技で破壊した。
難易度9

心抜きの術
互いの精神を入れ替える忌術。お互いの精神を身体から完全に切り離し、相手の肉体へとつなぎ直す。一度自分の身体から精神を切り離すという危険な作業を伴い、肉体の拒絶反応を抑える必要があるため、非常に危険度が高い。その上、実用性も薄い。
難易度8

奥義・先見
日暈家正式退魔師の基本にして奥義。数瞬先の未来を完璧に予知する。常に先に起こることが分かっているため、不意打ち、罠、奇襲、狙撃などの攻撃が一切通じない。迫撃戦でも相手が次にどのような手を打ってくるかが分かるため、日暈家の本来の強さをさらに高めている。
ちなみに、見えるのは自分が何もしなかった時の未来。

基本的に予知できても対応出来ない攻撃を放てばいいのだが、成功した者は限りなく少ない。
難易度9

時止めの術
禁術の写本。
擬似的に時間を止める。厳密には時間の隙間へと潜り込む。
時間を止めている間は、その状態を維持するために凄まじい勢いで術力を消費していく。草眞ほどの実力を以てしても、止められる最大時間は合計9秒。
草眞が日暈の奥義・先見を超えるために手に入れようとしていた。が、リリルによって写本を燃やされ、紛失。
難易度10

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