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第2話 大井っちを『着る』お話


 ガチャ。
 ノブを回し、そこそこ高級そうな扉を開ける。提督執務室と記された札。
「失礼しまーす」
 挨拶をしながら、少女が一人部屋へと足を進める。毛先の広がった茶色い髪の毛と、深緑色のセーラー服を纏った雷巡大井だった。
 執務室を眺めながら、声を掛ける。
「提督、いるかしら?」
 書類とパソコンの置かれた執務机と、資料が詰まった本棚。窓辺に置かれた観葉植物。本棚の隣には小さな冷蔵庫。執務机の正面には、ソファとテーブルが置かれている。簡単な会議をしたり、報告に来た艦娘が休んだり。
 数歩足を進め、大井は腰に手を当てた。軽く鼻息を吹く。
「いないわね。まったく、人を呼び出しておいて、どこ行ったのよ。あのアホ提督……」
 トッ。
 背後で小さな音がした。
 喩えるなら天井に張り付いていた人間が、床に下りたような。
「甘いわ!」
 しかし、大井の身体は既に動いていた。床を蹴り、身体を捻り、その勢いを乗せた踵を突き出す。後ろ回し蹴り。そして足に返ってくる、思ったよりも軽い手応え。
 白い制服を着せられた藁束が吹き飛び、扉にぶつかった。
「これは……変わり身っ!」
 大井は即座に身体の向きを変えようとして。
 ぺたり。
「へっ?」
 背中に何かを貼り付けられる。
 その瞬間、全身から力が抜け、大井は床に崩れ落ちた。


 両の瞳にキラキラと驚きの光を輝かせながら、提督は非常に薄くなった大井を掴みあげた。どういう原理なのか艦娘一人分の重さは無い。上着は囮用に使ったので、上半身はシャツ一枚だった。
「おお、すげぇ。ぺらぺらだ」
 まるで薄手の全身スーツのように、大井の身体は滑らかな布状に変化している。背中側に貼り付けられたファスナー。さきほど貼り付けたものである。
「てい、とく……。何……ですか……。こ……れ……」
 全身がシートのような状態になりながらも、大井は無理矢理視線を動かし、提督を睨み付ける。怒りと呆れと、諦めを宿した眼差しで。
 ぺらぺらになった大井を持ち上げたまま、提督は説明する。楽しそうに。
「艦娘をぺらぺらの着ぐるみにする魔法のファスナーだ。そして、取扱説明書によると魔法の着ぐるみになった艦娘を、俺が着ると――なんと、着た相手になれるらしい。つまり、俺は大井になれるのだ! 凄かろう!」
「何……考えて、るんですか……」
「大井っちのおっぱい思い切り揉みたかったから」
 提督は真顔で言い放った。
「このド……アホ……」
 呻く大井。
 提督はシャツを脱ぎ、ズボンも下着も靴下も脱ぎ、一糸まとわぬ全裸となる。細い割に鍛え抜かれた体躯だった。畳んだ上着をソファに置き、ぺらぺらの大井を持ち上げる。
「では、失礼します」
「え……えっ!? わたしの、身体……」
 開いた背中から足を入れる。内側はつるつるとした滑らかな感触で、生地の薄いボディスーツを着るようだった。左足を入れ、右足を入れ、腰も入れる。大井の身体が膨らむこともなく、提督を受け入れる。奇妙な感覚だった。抵抗もなく自分の形が変わる。
 足も、腰も、股間のものも。もとからそのような形だったかのように。
「凄いぞ、これ。どういう原理だ?」
 驚きながらも、提督は上半身を着込んでいく。ぺらぺらの大井の上半身に両腕を通し、背中のファスナーを上げた。腕と胴体が大井へと変化していく。
「後で……絶対殺ス……!」
 呻く大井。
 提督は大井の頭に自分の頭を入れ、ファスナーを一番上まで持ち上げた。



 大井は――
「あぁ」
 一度深呼吸をしてから、天井を見上げた。自分が知っている高さよりも高い。部屋が大きくなったわけではなく、自分が小さくなっているのだ。
 手を持ち上げ、栗色の髪の毛を掻き上げる。
「こんにちは。重雷装巡洋艦、大井です。ふふ、見た目は大井だけど提督にペラペラにされて着られちゃいました。提督、今日は私の身体を好きにしてくださいね?」
 誰へとなく語りかけ、片目を閉じた。
 にへらと笑い、大井は腕を伸ばし五指を開く。男とは違う滑らかで丸みを帯びた体躯。手を引き戻し、自分の顔や腕、胸やお腹、足を遠慮無く撫で回した。胸や腰を締め付ける下着の感触が心地よい。
「これが大井の身体か。やっぱり女の子だな。肌もすべすべで柔らかくて男とは全然違うし。いい匂いもするし。使ってる石鹸はそんなに変わらないのに、何でだろ?」
 髪の毛を両手で持ち上げ匂いを嗅ぐ。ほのかな石鹸の香りが心地よい。
 大井は髪から手を放し、自分の胸に手を添えた。
「でもま、やっぱ大井っていったら、この豊満なバストだよな」
 楽しげに笑ってみる。濃緑色のセーラー服を押し上げる双丘。自分の胸が膨らんでいるというのは不思議な感覚だった。
 両手で胸全体を包み込むように手を動かす。
「んっ、どうですか? わたしのおっぱい、大きいでしょう? 今日は提督が好きにしていいんですよ。こうして下から撫でながら指を押し込んで……」
 むにむに、と。
 だらしなく頬を緩め、大井は自分の胸を揉んでいた。
「あはっ、変な感じ」
 大きな双丘が手の動きに合わせて形を変える。手に伝わってくる柔らかさ。そして、揉まれる感触があるというのも、女の子の胸を自由にしているとう事実に、喉の奥が焼けるほどに興奮していた。
「なんだかエッチな気分になってきちゃった♪」
 胸の先端を指で弄りながら、大井が呟く。
 ほんのりと頬が赤く染まっていた。
「でも、その前に」
 しかし、そのまま手を放す。
 一度息を吸い込んでから、大井は執務机の側まで歩き、無造作に置いてあったカメラを手に取った。どこにでもあるデジタルカメラである。
 電源を入れ、大井はカメラを自分に向けた。
 身体を前に傾けながら背筋を逸らし、胸の下に左腕を差し入れる。腕で乳房を押し上げ、強調させながら片目を瞑った。
「はい、笑って」
 パシャ。
「うん。良い感じ」
 写った写真を確認し、大井は満足げに頷く。
「次は……こういうポーズだってしちゃいますよ」
 自分にカメラを向けキスをするようなポーズを取りカメラで撮影。襟元を引っ張り制服の中を撮り、続いて制服の裾を広げてお腹の中を映す。さらに腕を上げて袖の奥を撮影し、足をソファの背に乗せて太股を撮影。
 それらの写真を確認し、大井はにっこりと笑った。どこか影のある笑みである。
「んんー。次は私のパンツが見たいんですか? 提督のエッチ……私以外にそういうアホな事は言わないで下さいね? 変態扱いされちゃいますから。でも、いいですよ。この大井、提督のためならスカートを持ち上げるくらいお安いご用ですよ」
 スカートを持ち上げ、その奥にカメラを向けてシャッターを切る。
 カメラを持ち上げ写真を確認する。白い太股とその奥に写る白いショーツ。普通なら決して撮れない写真だ。
「ふふ……」
 ぞくりと身体が震え、身体が熱くなる。
 大井はにんまりとイヤらしい笑みを浮かべた。
「もっと見たいですか? うーん……今回はいいですよ」
 そう呟いてからソファの前に移動する。一度深呼吸をしてから、カメラを小型の三脚に固定し、テーブルの上に置いた。
 録画ボタンを押してから、大井はソファに腰を下ろす。
「それじゃ、提督。わたしの身体を楽しんで下さいね?」
 大井は制服のボタンを外し、上着を脱いだ。
 肌を撫でる空気の冷たさ。そして、白いブラジャーに包まれた大きな胸部装甲が露わになる。丸く大きな胸の膨らみ。脱いだ上着を横に放り捨て、両手で胸を触れさせると、女の子特有の柔らかがそこにあった。
「ふふ、柔らかい……」
 顔を緩めながらひとしきり胸を撫でてから、背中に手を回しホックを外す。そのままブラジャーを外した。肩にかかる胸の重さ。重力に引かれながらもしっかりと形を保つ張りのあるバストとつんと立った突起に、思わず笑みがこぼれる。
 両手で胸を撫でながら、大井はカメラに向かっていやらしく片目を閉じた。
「どうですか、提督? わたしのおっぱい、立派でしょ? 今日は特別に触り放題ですよ。んっ、こうやって両手でもみもみしても怒りません――あっ、気持いい……」
 手の動きに合わせて乳房が形を変える。大井の胸を好きに揉んでいる非現実感と、そして大井自身に自分の胸を揉ませている背徳感に、思わず顔が緩む。
 恍惚とした表情で自分の胸を触りながら、大井は快感に身を捩った。
「あっ、こうやって揉んでると、胸の奥がじわっと熱くなって……お腹の方も疼いてくるんです。うんっ、変な感じ……。ふふ……そろそろこっちも硬くなって来たわね」
 きゅっ。
「あんっ!」
 硬くなった乳首を摘まみ、小さな悲鳴を上げる。
 くりくりと、両手の指を動かしながら、大井は身を反らした。
「あっ、んっ! 乳首、凄いっ! 指で弄ってるだけなのにっ、頭に電気が走って! あっ、女の子ってこんなに気持いいの!? あっ、んっ……やだっ、手が止まらないっ! あっ、んっ……んんッ!」
 びくんと身体を震わせ、息を吐き出す。
「軽くイっちゃった……」
 身体を起こしながら、大井は気の抜けた笑みを浮かべた。火照った身体を抱きしめるように、自分の身体に手を這わせる。その形をしっかりと堪能し、記憶するように。肩やお腹や脇腹、太股をじっくりと。
「あぁ、大井の身体って最高――」
 そう呟いてから、スカートのホックを外す。
 腰を上げ、スカートを脱ぎ捨てた。
 股間を包む白いショーツ。両手で引っ張ると秘部の形が布地に浮かぶ。
 一度息を飲み込み、大井はショーツを脱ぎ捨てた。
「わたしのここって、こうなってるのね」
 薄く毛が生えた秘部を眺めながら、小声で呟く。手の平で撫でてみても引っかかるものはない。何も生えていない股間は、奇妙なものだった。顔が赤く染まっているのが自分でも分かった。心臓の鼓動が早くなっていく。
「んっ」
 割れ目を指で広げるとピンク色の綺麗な秘部が露わになった。
 ゆっくりとそこに指を触れさせると、ぴりっとした感覚が走る。
「これが女の子の感覚なのね。んっ、こうやって指先で撫でるといいのかしら? あっ、んっ……良い感じ。んんっ、ふっ――。だんだん切ない気になってきたわ。これだけで、またイっちゃいそうだけど……んっ、くっ、こっちが欲しがってるの……えいっ」
 つぷり。
「んあっ!」
 背筋を駆け上がった衝撃に、大井は甘い声を漏らした。膣内に指を差し込むという、男の肉体では決して得られない快感と奇妙な満足感。指に絡みつく暖かく濡れた肉の感触に、いやらしい笑みが浮かんでくる。
「あっ、んっ……お腹の中に挿れられるって変な感じ……あっ、でも、気持ちいいぅ! あっ、はっ……あぁぁ、ひっ。んんんっ! 女の子って凄い――!」
 だらしなく涎を垂らし身を捩り、甘い声を吐き出す大井。膣をかき混ぜながら陰核をこね回し、存分に女の快感を貪っていた。
「あっ、はっ……あっ、来る……来ちゃう! あっ、あっ……一番大きいの来る! ああっ、わたしイく、イっちゃ――あああああんっ!!」
 びくっ、びくんっ!
 背筋を駆け上がる衝撃に、大井は仰け反って痙攣した。目の前に星が散り、脳を灼くような快感が全身を駆け巡る。思考を吹き飛ばし、身体を飲む込む快楽をただ堪能していた、
 十数秒してから身体を起こし、大井はにまりと笑う。
「提督、もう少し行きましょう?」


「あっ! ああぁっ! おっぱい、気持ちいい! 乳首もびりびりするっ!」
 ソファの背に身体を預け、大井は天を仰いで自分の胸を弄っていた。豊満な乳房を思い切りこね回し、痛みを感じるほどに乳首をつねる。
 それだけで、喉が詰まるほどの快感が全身を埋め尽くした。
「あっ、イくっ! 胸だけでイっちゃうのおおお……あああぁぁぁ!」
 びくびくびくっ!
 引きつった笑みとともに、大井は達した。

「んっ、はっ……、わたしったらすごいエッチな匂い……」
 ソファにうつ伏せになり、お尻を高く突き上げた大井。恍惚とした表情で丸めたショーツの匂いを嗅ぎながら、右手で己の膣をまさぐる。
「ああっ、はっ……大井の身体、想像以上だ……。もう癖になりそう。あはっ!」
 ぐちゅぐちゅ、と。
 淫らな水音を立てながら、大井は自分の指で膣をかき混ぜる。中指と人差し指で膣壁を抉り、膣奥をこすり、溢れる快感に身を震わせた。
 しかし、止まる事無く、最も気持ちよい部分を刺激する。
「あっ、あああっ! ここ、気持ちいいっ! あっ、ここ、ぐりぐりって、あひっ、これ頭真っ白になって――あっ、またイっちゃう! ああっ、はっ、ンああああああっ!」
 大井は何度目かの絶頂に身を震わせた。


 

「で、わたしの身体気持ちよかったですか?」
 大井が、冷たい目線で見下ろしてくる。
 腕組みして仁王立ちする大井の前で、提督は静かに正座していた。とりあえず服は着ている。真面目な表情で大井を見上げ、きっぱりと答えた。
「めっちゃ気持良か――痛っ! 痛い! 痛っ、ありがとうございます!」
 どげしっ!
「うぼぁ」

 顔面を蹴り抜かれ、提督は床に転がった。
 その頭を容赦なく踏みつけ、大井は続ける。
「で、どうするつもりです? 女の子の身体をここまで弄ぶって、許されませんよ。憲兵さんに連れていかれて、去勢されて下さい。何か言い残すことはありますか?」
「うむ」
 もぞもぞと大井の足から抜け出す提督。床から立ち上がり、制服に付いた埃を落とす。そしておもむろに懐から取り出した間宮券二十枚を差し出した。真顔で。
「…………」
「………」
「……」
 大井は間宮券をポケットにしまい、こほんと咳払いをする。
「ま、次はせめて事前に許可取って下さいね」
「善処します」
 提督は一礼した。
 大井はポケットから取り出したファスナーを眺める。
「これ、どこで手に入れたんですか?」
 提督は神妙な面持ちで腕を組み、語り始めた。
「先日、工廠の妖精さんとエロ談義に花を咲かせた時に、羊羹五十本で作ってやるって話になって、高級羊羹五十本渡したら作ってくれました、妖精さんありがとう!」
「妖精さんって凄いわね……」
 呆れたように額を押さえ、大井が呻く。
「妖精さんだからな」
 提督は得意げに頷いた。

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20/5/23